2015年8月22日土曜日

プロパガンダの場と化してしまったウィキペディア - MH17便の例



情報源としてウィキペディアを参照することは頻繁にある。これはデジタル化された情報が持つ利便性が我々をそう仕向けているからだと思う。まさにテクノロジーの恩恵である。検索する案件は政治や経済、あるいは、時事問題や歴史であったりする。ウィキペディアによって取り扱われている分野は膨大で、際限が無いかに見える。

その結果であるとは思うが、最近は、分厚い百科事典を引っ張り出して、ページをめくるという作業が何だか億劫にさえ感じられる程だ。我々はすっかり甘やかされてしまっている。

ところが、そのウィキペディアが客観性を失い、偏向した説明や記述しかしていないならば、あなたはウィキペディアをどう思うだろうか。これはもうインターネット百科事典としてのウィキペディアの存在そのものを揺るがすような一大事である。

MH17便の撃墜事件との関連から見たウィキペディアの偏向振りを批判する記事 [1] が見つかった。

この記事によって関連情報がここまでも操作され、ウィキペディアが関係政府の都合のよい宣伝の道具と化してしまっている事実を皆が知ることにはなるが、この記事を足掛かりにして、国際政治に地政学的な野望が横行することは避けては通れそうもない折柄、MH17便の事例を冷静に観察してみたいと思う。

また、MH17便の事故は298人にものぼる犠牲者を出しているだけに、歴史家である著者が事実だけを直視しようとする真剣な態度には敬意を表したくなるほどだ。愛する家族の一員を失った遺族の方々にとっては、今なお結論が得られない国際調査団とは対照的に、この著者が示す見識は喉から手が出る程の存在ではないだろうか?

<引用開始>

Photo-1
ウィキペディアの記事は歴史的な説明と言うよりも、むしろより多く宣伝の場と化してしまった。多くの場合、ウィキペディアに参照されている情報源は誤解を招く恐れがあり、時には完全な間違いであることさえもある。
2007815日、“Wikipedia Shows CIA Page Edits,” と題して、「登録内容の編集にはCIAが絡んでいることが判明した」とBBCのジョナサン・ファイルズが報道した。これはウィキペディアのページを編集する組織の素性を明かすことが出来ると言われているオンライン・ツールを駆使して判明したことだった。すなわち、CIA にとって都合が良くない情報に関しては、彼らはそれを除外したり、変更したりすることが出来るのである(そして、そうしている)。
最近、2015625日のことではあるが、「reddit[訳注:ニュース記事や画像などを紹介し、感想を求めるソーシャル・ニュース・サイト] の匿名のポスター、「ムース」が18種類の内容の違ったニュース記事をリストアップし、互いの記事を直接関連付けしていたこれらのニュース源はニューヨークタイムズやワシントンポスト、テレグラフ、ミラー、ガーディアン、およびニューズウィーク、等のメディアであり、CIAばかりではなく米政府の他の省庁や大企業さえもがウィキペデアの編集に関与していると報告している。この人物は「スキャンダルの渦中にあるウィキペディアのボスが辞任し、報酬を受けて行う編集を防御している」と述べ、ウィキペディア自身をニュース報告の対象として取り上げた。ウィキペディア自身の腐敗が報じられているのである。そこに報告されている他のニュースの殆んどは、報酬は受けとらいないものの、CIAや米議会、英国議会、DCRI(フランスの諜報機関)の職員、大企業の従業員、自己本位に走る個人、他によって行われている諸々の編集作業に関するものである。ある記事は「全ロ国営テレビ・ラジオ放送公社(VGTRK)は民間航空機事故を報じるページのロシア語版を書き換え、MH17便はウクライナ軍によって撃墜されたと記述している」と報告している。基本的に言って、ウィキペディアは数多くの自己本位な情報源によってすっかり汚染されてしまった「情報」の川のような存在であることが暴露されたのだと言えよう。つまり、「ウィキペディアはニューヨークタイムズやワシントンポスト、テレグラフ、ミラー、ガーディアン、あるいは、ニューズウィークよりも信頼できるというわけでは決してない。」 
これはまったく信頼が置けない。例えば、2002年から2003年にかけて、サダム・フセインは「大量破壊兵器」を備蓄していると皆が理解していた。誰もがそのように報じるニュース記事を読んでいたからだ。結果として、ウィキペディアがそういった記事にリンクを掛けると、ウィキペディアは嘘を拡散するだけの存在となる。結局、ニューヨークタイムズやワシントンポストは、あたかもそれらのニュースが真実を伝えているかの如くにホワイトハウスから流された嘘を、速記者のように、右から左へと「報告」しているに過ぎなかった。出版者の名声は正直さ(つまり、整合性や注意深さ)とは何の関係もないのである。速記者のような「ニュース」報道は、たとえニュースを伝える母体が有名で賞賛されていると言っても、真のニュース報道とは言えない。皮肉なことには、もっとも信頼の置けない幾つかの「ニュース」メディアがトップレベルの名声を誇っている。
ウクライナ上空で撃墜されたマレーシア航空の旅客機:
一例を挙げると、2014717日に撃墜されたマレーシア航空のMH17便に関するウィキペディアの英語版は米国政府およびその職員によって作成されたものであって、破廉恥な宣伝道具である。現時点では脚注には320もの情報が動員されているが、この旅客機を撃墜したのはウクライナ軍であるとの証拠を示す多くの記事(ほとんどが外国のメディアによる報道)が存在するにもかかわらず、いずれも参照されてはいないのだ。まったく言及されてはいない項目の中には幾つかの重要な疑問点がある。例えば、ウクライナ政府はMH17便の事故の調査に従事する公式の4カ国(オランダ、ベルギー、オーストラリアおよびウクライナ)が発行する最終報告書に対しては拒否権が与えられているが、これは何故か? 疑惑の目を向けられているふたつの主要な国のひとつがウクライナ自身であるにもかかわらず、ウクライナはどうしてこの調査団の一員として加えられたのか?
パイロットの座席の直ぐ側にあるサイド・パネルには30ミリの弾丸による穴 が無数に開けられているにもかかわらず、この長ったらしいウィキペディアの記述ではそのことについて何も触れてはいないのは何故か?(もしも、ウィキペディアが想定するように、この旅客機がミサイルだけで撃墜されたとすれば、機銃による穴はまったく無いか、ずっと少ない筈である。)この惨劇が実際にはどのように起こったのかをもっと良く示す証となる筈ではあるが、最初の解析結果はウィキペディアの記述からはまったく無視されている。これは何故か?結局、サイド・パネルの解析結果はその後他の信頼できる証拠によって確認されてはいるが、これらについてもウィキペディアの記述はそれらすべてを無視している始末だ。
私はウィキペディアの幾つかの記事を編集したことがある。しかし、私はMH17便に関する記事を編集しようとは思わない。何故かと言うと、日和見的な情報源やその他の悪意のある情報源によって余りにも徹底的に改ざんされてしまっていることから、全面的な書き換えが必要となるからだ。この記述を通じて個々の詳細事項に関して最適の証拠に根ざした説明を提供するには、偽りの「証拠」はすべて排除しなければならない。現行のウィキペディアの記述は完全に反ロ的プロパガンダに乗っかったものである。これはCIA によって書かれたものであるからかも知れない(ちょうど、「サダム・フセイン」の大量破壊兵器の説明のようにだ)。
MH17便の撃墜に関する米国のプロパガンダを確認したい向きには、ウィキペディアの記述をこちら に示す。
こちら にはMH17便の撃墜に関して私自身が作成した最新の記事を示す。
こちら には私が作成したもっとも包括的な記事を示す。これは旅客機をどのように、何故に、そして、いったい誰が撃墜したのかに関して証拠に基づいて再構築してみたものである。
私の論点の中核はハイセンコが最初に公衆の関心を呼ぶことになった証拠物件と同じだ。例のサイド・パネルである。基本的に、私は旅客機の撃墜に関して彼が示した再構成を支持する立場にあるが、私は追加的な証拠を提示し、補足している。記事の中に示したリンクをクリックして、記事の中では直接説明をしてはいない事項に関してさらなる疑問をお持ちの方は、それが何に関することであろうとも、もっと深く解析された証拠を確認していただきたいと思う。
著者の記事は、ウィキペディアの記述に比べると、遥かに少数の証拠を取り上げているだけである。それは、取り上げた詳細事項に関しては、もっとも信頼性の高い証拠を除き、私はすべてを除外したからだ。世間には不確かな情報に基づいた推測が実に多く、嘘の「証拠」が何と多いことか。したがって、私自身が従うべき原則はもっとも信頼性が高く、改ざんされてはいない証拠に基づいて展開された見解だけを取り上げること、そして、推測の度合いがもっとも少ないものに依存することにしている。これこそが司法の場でとるべき態度である。このことは、信ぴょう性や信頼性について言えば、現代の法的・法医学的な基準を満たさない証拠については判事はそれらを陪審員に示す証拠には含めないという権限を付与されている理由でもある。このような手法によってこそ、偏向のない陪審員の評決が可能となる。単なる作り話とは対照的に、これこそが歴史を語る際の前提条件である。
これが私自身がMH17便について作成した記事と320個もの引用記事によって構築されているウィキペディアの記述との間の違いである。そして、この違いは、「マレーシア航空17便という同一のテーマに関して、私の記事をウィキペディアのそれからは完全に切り離すものでもある。
ウィキペディアの説明の何が悪いのかと言うと、それはサイド・パネルに残された30ミリの弾丸によって形成された穴について言及してはいない点にある。この証拠はこの旅客機がどのようにして撃墜されたのかという米国・ウクライナの説明(ウィキペディアの説明)とはまったく辻褄が合わない。(ウィキペディアは、その代わりに、「ブク・ミサイル発射装置」で頭が一杯になっている。)これは米国とウクライナの両政府によって提唱された説であって、この説は弾丸によって形成された穴とは基本的には両立するものではない。33,000フィートもの高空で弾丸による穴を地上から生じさせることは出来ない。)そして、ウィキペディアの記事はピーター・ハイセンコのことを参照してはいない。彼はルフトハンザの優秀な元パイロットであり、彼はサイド・パネルに生じた弾丸の穴を指摘した最初の人物である。また、この旅客機を撃墜したのは33,000フィート下方の地上から発射されたミサイルから飛び出したシュラップネルだけであったとすれば、パイロットの体へ直接撃ち込まれた弾丸によって無数の穴が形成されることはなかったであろうと彼は言う。単純に言って、33,000フィートも下方の地上からパイロットの腹部を狙って、無数の弾丸を撃ち込むことは出来そうにはない。このサイド・パネルの存在によって、米国・ウクライナの論理は覆され、ウィキペディアのプロパガンダ臭に満ちた記述も同様の運命にある。
そして、パイロットの死体解剖の結果は何故公開されないのだろうか?死体の中に何が発見されたのかは誰もが知る必要がある。しかし、ウィキペディアや「ニュース」メディアはいずれもこの非常に基本的な疑問に興味を示そうとはしない。
我々は民主主義の社会に住んではいないのだ。紛れもなく、これは専制主義である。理性が豊かで独立心が旺盛な市民にとっては、「ニュース」メディアを信用することはできない。真実を追求するには、(不幸極まりないが)自分で調査を行い、もっともしっかりした証拠に基づいている主張や憶測の範囲が最低限に抑えられている主張こそが本物の歴史を支えるのだとする態度を断固として維持する必要がある。これは歴史以外においても同様である。それを除くと、すべてが「ニュース」メディアを日常的に信用し、単に嘘や作り話を受け入れることに等しく、市民に情報を流す代わりに、(イラクへの侵攻を行った時のように)市民を巧みに操作するためにデザインされている。「ニュース」メディアを信用しない理由は山ほどある。そして、ウィキペディアも大衆が操作されているのとまったく同様に操作されているのである。
我々は今真実から引き出された嘘や作り話の文化の中で生きている。 換言すると、我々は専制主義の社会に生きている。それが今日の米国の姿である。それが我々が生きている現実であると言える。そして、もっとも大きな嘘は「いや、そうではない」という断言だ。しかしながら、哀しいかな、証拠が証明している。我々は嘘の中で生きている。明らかに、それは事実だ。
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注: 調査報道に徹する歴史家のエリック・ズエスは著作を行い、最近の著作としてはThey’re Not Even Close: The Democratic vs. Republican Economic Records, 1910-2010,  CHRIST’S VENTRILOQUISTS: The Event that Created Christianityがある。
<引用終了>


ウィキペディアの日本語版を調べてみた。マレーシア航空17便撃墜事」と題した記述が「ハイセンコ」を参照している様子は見当たらない。「ハイセンコ」という言葉を検索しても、ひとつも引っかからないのである。日本語版は英語版の原文を翻訳したものであるから、このブログが引用する記事の著者であるエリック・ズエスが述べている通りの実態が日本語版で観察される。つまり、日本語版についても、英語の原文と同様、記述内容の信ぴょう性は地に落ちたと言える。

ウィキペディアはどれだけの自浄能力を持っているのだろうか?ウィキペディアの利便性が証明され、広く使用されている今、オンライン百科辞典として本来求められている客観性や信ぴょう性を取り戻して欲しいものだ。ウィキペディアを運営するウィキメディア財団は、明らかに、そう努力しなければならない。


参照:

1Wikipedia as Propaganda Not History - MH17 as an Example: By Eric Zuesse, Jul/08/2015, www.washingtonsblog.com > Home > General


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