2015年6月22日月曜日

モンサント社の元社員であった一流専門誌の編集者、その地位から解任される



国際的に著名な科学系専門誌の編集者が特定の産業界からの出身で、その編集者が寄稿されてきた原稿を審査する際にその産業界のためには不都合な内容であるとして特定の研究成果を没にしていたとしたら、皆さんはどう思うだろうか。

大多数の人は「けしからん!」、「言語道断だ!」と言うだろう。

ところが、これは今年の3月の記事 [1] ではあるが、遺伝子組み換え作物(GMO)の毒性に関する論文を巡ってそのような状況が実際に起こっていた。多くの研究者は産業界からの資金提供によって研究活動をしている。それをいいことに、資金を提供する側の産業界は近視眼的な行動に陥り、研究によって得られた新しい知見を自分の都合のいいように歪曲しようとする。時に、その横暴振りには目に余るものとなる。

今日はこの記事を仮訳して、皆さんと共有したいと思う。


<引用開始>

モンサントの元従業員であったリチャード・グッドマンは「Journal of Food and Chemical ToxicologyFCTの編集局から解任された。同誌がセラリーニの研究論文を撤回する暫く前に、グッドマンは共同編集者として同誌に任命されていた。同様に、編集長のA・ウレス・ヒースも新任の編集者と交代することになった。

主要な専門誌として評価されているこの科学専門誌はGMO業界の肩を持つような編集者を更迭し、科学そのものに徹することに決心したようだ。「偏向しない」編集長が新たに迎えられ、バイオテック業界に偏向したA・ウレス・ヒースは更迭された。ウレス・ヒースはGMOの毒性を明確に示したセラリーニ他が投稿した論文を撤回したのである 

 [訳注:この論文は「結論に到達してはいない」という理由でFCT誌への掲載後14カ月も経ってから撤回された。しかし、撤回の理由は前例のないものであった。ある解説記事 [2] によると、その著者は「多くの研究者はこの論文の撤回の本当の理由はセラリーニの研究がGMO作物の消費によって除草剤が体内に取り込まれ健康被害が起こるという証拠を見い出したことにあると考えている。その結果、モンサントだけではなくGMO業界全体を危険にさらすことになるかも知れない」と解説している]

モンサントのGMOトウモロコシ「NK603」は安全であるとする2004年の研究に応えて:

「…ギレス・エリック・セラリーニ教授によって率いられた殆んどがフランス人の研究者で構成された研究陣は2年(700日余り)にも及ぶ飼育試験 [2] を行った。この試験では他の条件は殆んど同様とした。彼らの論文は20129月にFCTに掲載された。これによって、モンサントの論文では棄却されていた当初の懸念が深刻な疾病として浮き彫りにされたのである。つまり、肝臓や腎臓、下垂体に損傷が認められ、中でも特に注目すべき点としては雌の個体に早期死亡や大きな腫瘍の発生が起こった。加えるに、この研究では微量のモンサントのラウンドアップがラットの飲水に添加された。NK603は遺伝子組み換え技術によってこのラウンドアップ除草剤に対する耐性が付加された品種。」

ところが、暫くしてから、セラリーニの論文はFCTから撤回された。この撤回の事実は、バイオテックは危険であるという見方は見当違いだと喧伝する業界のサクラによって無鉄砲な形で利用されることになった。数多くのブログやフェースブックで考慮に値する以上に議論が沸騰した。同誌は、今や、何らかの新規入れ替えを行っている。モンサントを支持し、偏向していた二人の編集者はその職から解任されたのである。

セラリーニの論文が撤回された後、何百人もの科学者たちが同誌と連絡を取り、「どうして撤回するのか」と質し、「論文の撤回はバイオテック業界からの圧力に屈することになるのではないか」と述べ、抗議をした。学会は激怒しモンサントやダウ・ケミカル、シンジェンタ、等によって子供じみた名前を付され揶揄されていたにもかかわらず、研究者らは上記のような厳しい意見を表明した。

ホセ・ドミンゴが新編集長に迎えられた。彼はGMO作物の安全性は確立されたとは言えないとする論文をいくつか出版している。

FCTでは非常に重要な変革が実行されている。編集長のA・ウレス・ヒースはセラリーニ他の論文を同誌から撤回したのである。GM作物の安全性はまだ確立されたとは言えないとする論文を発表しているホセ・L・ドミンゴが同誌編集局の新編集長として迎えられた [19]。また、セラリーニの論文が撤回される暫く前に同誌の共同編集者に加わっていた元モンサント社の従業員であったリチャード・グッドマンはもはや編集局に名を連ねてはいない。」

同誌から撤回されたにもかかわらず、セラリーニのオリジナルの研究成果は数多くの読者を獲得した。また、ギレス・エリック・セラリーニ教授の研究者グループは、グリフォサートが如何に心臓の機能を損なうかに関して得た知見を含めて、さらなる研究成果を発表している。それをここに示す
 
FCTは、今や、正気に戻った。多分、産業界から研究費用の支払いが行われている他の研究もすべてが権威のある科学誌からは追放されることになるだろう。 

追加的情報源: SGR.org.uk

<引用終了>


この記事によってバイオテック産業界の巨人「モンサント」が自社にとって都合の良い研究内容だけを報告し、都合の悪い情報は出版されないようにするために特定の論文を権威のある専門誌から排除しようとしていた事実が明らかとなった。

これはバイオテック業界、特に、モンサントにとってはかなり大きな事件であるに違いない。今回のセラリーニ論文を巡る攻防は結局のところモンサント側の負けに終わったように思える。

GMO食品や殺虫剤の健康被害については新しい知見が数多く蓄積されつつある。特に、長期にわたる摂取の結果起こる子供たちの健康被害は深刻である。今までは少なくとも業界に不利にはならない論文だけが公開されていたのではないか。出版されなかった論文の幾つかはここに紹介されたセラリーニの論文と同じ運命に遭遇し、希望の専門誌には受理して貰えなかったのではないか… 

ここでも、論文を発表する場である著名な専門誌を巻き込んだ産業界による「GMO村」の出現である。「原子力村」の安全神話が崩壊する様子をつぶさに見てきた日本の消費者にとっては「またか」という感がある。

上記の引用記事の最後の段落に示された「産業界から研究費用の支払いが行われている他の研究もすべてが権威のある科学誌からは追放されることになるだろう」という期待あるいは願望を私自身も共有したいと思う。

食品は長期的な摂取による毒性や発がん性があってはならない。これは食品に対する最優先の要件である。我々の次世代の健康を守るためにはGMO村の存在によってもたらされる弊害は少しでも排除して行かなければならない。



参照:

1Former Monsanto Employee Fired from Major Scientific Journal’s Editor Position: By Christina Sarich, Global Research, Mar/30/2015, www.globalresearch.ca/former-monsanto-employee-fired-fro...

2Scientific Publication in Peril: the Séralini Affair: By Eva Novotny, SGR Newsletter no.43 (advance publication), Oct/24/2014




2015年6月15日月曜日

モンサントの除草剤と発がん性との関連性 - WHOは公表した調査結果を撤回しそうもない



日本経済新聞は、324日、「米モンサント開発の除草剤に発がん性の恐れ」と題して次のように報道した:

【ワシントン=共同】 世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(本部フランス・リヨン、IARC)は23日までに、米モンサントが開発した除草剤「グリホサート」に発がん性の恐れがあるとする報告書を公表した。グリホサートは「ラウンドアップ」の商品名で知られる除草剤の主成分。日本を含む多くの国で使われている一方、安全性を懸念する声も強い。IARCは、人での発がん性を示す証拠は限られているものの、動物実験や薬理作用などの研究結果に基づいて判断したと説明。5段階分類で上から2番目にリスクが高く「人に対する発がん性が恐らくある」ことを示す「2A」にグリホサートを位置付けた。報告についてモンサントは「グリホサートは人の健康に安全だ」と反論している。


国連機関によって指摘された批判にはそれ自体に重みがある。

自社の除草剤に関して発がん性の恐れがあることを指摘されたモンサント社は、早速、上述の記事にあるように反論をした。目下、企業利益を擁護しようとするモンサント社と除草剤を使用する農家や消費者の健康を守ろうとするWHOとの間では綱引きが行われている。

スリランカの農民が被った健康被害の様子については、201462日付けのブログ、「モンサントの除草剤と腎疾患との関連性」で詳細にご紹介した通りだ。

長期的に吸収される微量な化学物質が人の健康を害する事態はさまざまな形で起こる。除草剤に直接的に接する農家の人たちだけではなく、農産物に残留する農薬によって一般消費者(特に、幼児や未成年者)が健康被害を受けることは決して稀ではない。食糧自給率が異常に低い日本の消費者は米国から輸入される農産物(大豆、トウモロコシ、コメ、等)を大量に消費している。国内産食品による暴露と相俟って、米国産の食品中に残留する除草剤の危険性は相対的に高くなる可能性がある。しかも、健康被害は長期的な摂取によって始めて表面化することが多いから厄介だ。我々消費者はこの現実を冷静に見つめる必要がある。

本日は、上記の科学者らの努力を伝えている記事 [1] を読者の皆さんと一緒におさらいをしておきたいと思う。


<引用開始>


Photo-1 小麦畑に掲示された「遺伝子組み換え作物」の標識

WHOの最近の調査は除草剤「グリフォサート」には「恐らく発がん性がある」との結論を下した。この調査に携わった科学者は自分たちが得た評価結果を後押ししている。このコメントはモンサント社からの反論に対抗するもの。同社はWHOの調査は「論理的な根拠に乏しい」と酷評。モンサントのラウンドアップと称する製品の主成分はグリフォサートである。モンサントの重役は「さらに先へ進みつつ選択肢を検討する」と述べた。
国立癌研究所の名誉研究員であり本調査結果に関する主要な著者でもあるアーロン・ブレア―はロイターに対してこう述べた「動物試験では十分な証拠をつかみ、人の臨床試験でも限定的な証拠をつかんでいる。また、DNAの突然変異や染色体の損傷を示す強力な証拠も揃っている。」 WHOの国際がん研究機関(IARC)は世界中で広く使用されているこの除草薬が非ホジキンリンパ腫を誘発することを見い出し、グリフォサートに関する研究成果を320日に公表した。
このIARCからの報告は「ランセット腫瘍学」誌に発表され有機リン酸系の除草剤や殺虫剤の評価結果を詳細に論じている。本報告書は「人に非ホジキンリンパ腫を起こす発がん性について限られた証拠が見つかっている」と結論付けた。この結論は2001年以降米国やカナダおよびスウェーデンで当該化学物質への暴露について行われた研究から導かれたもの。 
研究者らは「グリフォサートが実験動物に癌を誘発することについて説得力のある証拠」を見い出した。報告書によると、米環境庁(EPA)が1985年に初めてグリフォサートを分類した際、人に対する発がん性の可能性があるとしていた。IARCの作業部会はこのEPAの当初の知見を評価し、「実験動物における発がん性については十分な証拠がある」と結論付けた。WHOの知見にもかかわらず、EPA2013年にモンサントによるグリフォサートの使用を承認した。
グリフォサートをめぐる闘いは遺伝子組み換え(GM)作物の議論とも絡んでいる。除草剤は典型的にはGM作物に使用される。トウモロコシや大豆は特に除草剤への耐性が高くなるように改質される。モンサントのような企業はこの化学物質の成功に向けて莫大な資本を投下している。散布地域では除草剤は食品や飲料水ならびに空気中にその存在が認められる。
2014年、Anti-Media International Journal of Environmental Research and Public Health」誌に発表された論文について報告をした [訳注:Anti-Mediaはニュース報道を専門とする米国の代替メデアのひとつで、ラジオ放送も行っている]。その論文はグリフォサートと「原因不明の慢性腎疾患(CKDu)」との間には関連性があると主張。この除草剤はスリランカや他の国で稲作農民に甚大な影響を与えている。この知見を受けて、スリランカはグリフォサートの使用を禁止し、ブラジルも禁止措置を検討している。
スリランカの特別プロジェクト担当相であるS.M.チャンドラセナはマヒンダ・ラジャパクサ大統領の命を受けて同国内でのグリフォサートの販売は禁止になったと述べた。「医療専門家や科学者らによる調査の結果、腎疾患は主としてグリフォサートによって引き起こされていることが判明した。この報告書の内容が報告された直後、マヒンダ・ラジャパクサ大統領は国内市場からグリフォサートを直ちに排除するよう指示した。 
研究者らの知見によると、グリフォサートは農薬中に存在する有毒重金属の腎臓での蓄積を助長する。1990年代、原因不明の慢性腎疾患(CKDu)がスリランカ北部の中央部で初めて確認された。推算によると、約2万人が死亡した。モンサントがグリフォサートを除草剤として販売を開始する前は、グリフォサートは温湯システムに沈殿するミネラル分を除去する用剤として知られていた。
この論文は新しい科学的な知見を提供したわけではないが、研究者らはCKDuが如何にして広まるのかに関してひとつの説を提供した。彼らの考えるところによると、グリフォサートは飲料水中の重金属の含有率を高める。この研究の筆頭著者であるチャンナ・ジャヤスマナ博士は「グリフォサートはこれらの重金属を腎臓に運搬する担体または媒介物質として作用する」と述べた。グリフォサートそのものは有毒物質ではないが、地下水中の重金属と一緒になるとこの除草剤は腎臓に対して極めて毒性の高い物質に変化する。
近年、エルサルバドルやニカラグアおよびコスタリカの農村地帯ではCKDu 患者の数が急増している。
上述の大臣は国家的なプログラムを新たに推進すると述べ、スリランカの農民が有機肥料を使用するように推奨している。農業省は全国で10万エーカーの土地に有機農法を用いた作付けを実施したいとしている。
モンサントの広報担当者を務めるトーマス・ヘルシャーは「スリランカや他の国で起こった腎疾患がグリフォサート系製品への暴露と関係することを示す疫学的研究は行なわれてはいない。あの論文はひとつの説を述べているだけであって、ジャヤスマナの仮説は必ずしも正しくはないとするデータが幾つも出版されている」と述べた。しかし、裏付け資料が存在するとのモンサントの主張にもかかわらず、グリフォサートの危険性を示す証拠は増えるばかりである。
米農務省は昨年新たに一連の遺伝子組み換えトウモロコシや大豆の種子を承認したが、これらはグリフォサートへの耐性を強化したものであり、それゆえに全体としては除草剤の使用が増加し、それと共に我々は多くの健康被害を目にすることになるだろう。事実、米農務省による認可はダウ・ケミカルとモンサントを連携せしめ、この動きは企業が政府をコントロールする状況をさらに強めることに繋がるのではないかと懸念される。
<引用終了>

ここにも米国の巨大ビジネスが政府を丸め込んで企業利益を確保しようとする構図が見られる。さらには国連機関さえをも丸め込もうとしている。あたかも「GM作物村」の横車には限度がないかのようだ。
日本では原子力村の安全神話が見事に崩壊した。4年前のことである。このGM作物村の安全神話も近いうちに崩壊の憂き目を見るのかも知れない。WHOの国際がん研究機関(IARC)が自分たちの主張を固守する姿勢にその兆候が見え始めたように思えるのだが、どうだろうか。私の単なる希望的観測に終わらないで欲しいものだ。

     
ところで、米国では来年大統領選が行われる。これと絡んでさまざまな事柄が報道され、今やすでに選挙戦に突入しているかのような様相を呈している。そのひとつにホワイトハウスでオバマ大統領の家族が食べる食事がある [2]。もっと詳しく言うと、使用される食材が議論の対象である。
それを下記に引用してみよう。

<引用開始>

Photo-2 独立した調査結果によると、GM食品は人の健康に有害である。
報告によると、ホワイト・ハウスの食事はオーガニックである。「米国で栽培:ホワイトハウスの菜園ならびに米国全土の菜園についての物語」と題されたミシェル・オバマ大統領夫人の書物には大統領一家が如何にオーガニック(非GM)食品にこだわっているかが記述されている。
しかし、彼らが大統領以外の一般市民について望む食品はまったく別の話となるだろう。特に、2016年の11月にヒラリー・クリントンが大統領に選出された場合にはことさらにその懸念が強まるに違いない。
20147月、バイオテックに関する会議で彼女はGM食品を支持して、こう述べた:「私は立派な実績を有している種子や製品を使用することに賛成する。」 
さらに、GM食品を批判する人たちを攻撃して、「事実と認識との間には大きな隔たりがある」と彼女は付け加えた。
クリントンおよびブッシュ2代目の大統領の家族らが食べた食物はオーガニック食材を用いて調理された。ウルター・シャイブは1994年から2005年までホワイトハウスの総料理長を務めていた。
としても大変な挑戦であった。彼女はホワイトハウスに現代風の米国料理を提供し、栄養学的にも立派な食べ物を調理するよう要求してきた。」 
使用する食材のほとんどは近隣の生産者や供給業者から取り寄せられた。ホワイトハウスの屋上にある小さな菜園を使って、殺虫剤や化学肥料無しで農産物を栽培した。オーガニック農法で栽培された食材が最優先であった。
歴代大統領の家族は健康的な食品、ならびに、殺虫剤やGM食材が混入しない食事を追求した。その一方で、モンサントや他の巨大なバイオテック企業のために人の健康に有害と見られるフランケン(GM)食品を後押ししている。
 
2014年、オーガニック消費者組合の副理事長であるキャサリン・ポールは「もしもヒラリー・クリントンが2016年の大統領選に立候補する積りであるならば、彼女は一般大衆の健康に有害となる食材や農法を支持することは真剣に考え直さなければならない」と述べている。
彼女の物の見方は「先代のブッシュ・ジュニアやクリントン、(ブッシュ・シニア)、およびレーガン政権の連中のそれとは何の変わりもなく、彼らの見方はバイオテック産業の論点を右から左へと受け売りしたものだ。」 
ヒラリー・クリントンのバイオテックやアグリ・ビジネスとの関わりはローズ法律事務所で弁護士をしていた1980年代に遡る。モンサントやタイソン・フーズは顧客である。
国務長官として、彼女の国務省は諸外国にGM食品に対する市場開放を強力に求めた。GM食品を世界中に広めるために、米国民が支払った税金が使用された。
大うそが広められ、真実は抑圧された。食品の安全に代わって、業界の論点が最優先とされた。
517日付けのワシントン・タイムズはヒラリー・クリントンのバイオテックやアグリ・ビジネスとの結びつきが彼女に「フランケン食品の花嫁」というありがたくないニックネームを勝ち取らせたと報じている。
GM食品に関する議論ではヒラリー・クリントンはいつも化学会社の肩を持つ」とワシントン・タイムズは述べている。
「ビル・ヒラリー・アンド・チェルシー・クリントン財団」が開示した情報によると、モンサントはクリントン財団に50万ドルから百万ドルを寄付し、アグリ・ビジネスの巨人、ダウ・ケミカルは百万ドルから5百万ドルの寄付をしている。
他にも多数の巨大企業が大金を寄付している。これらの大企業はヒラリー・クリントンの大統領選では多額の寄付を行うと推測されている。
彼女は「ヒラリーに期待」と称する彼女の政治活動の特別委員長にモンサントのロビー活動の専門家であるジェリー・クロフォードを選んだ。
彼は以前ビル・クリントンやアル・ゴアならびにジョン・ケリーのためにも働いたことがある。また、モンサントの種子ビジネスのために小規模農家との法的な争いでも働いている。
プロとしてのキャリアー中、特に政治の分野では大統領夫人としてもっとも重要な政治的問題ではヒラリーは間違った側に立つことが多かった。医療保険や食品の安全、戦争、等に関してだ。
2001年に大統領府を去ってから彼女とビルが超大金持ちになったという事実は偶然の産物ではない。
開示された財務報告書によると、ヒラリーがニューヨーク州の上院議員であった当時や国務長官を務めていた当時を含めて、2001年から2012年の間に彼らは163百万ドルを稼いだ。
20141月以降に行った演説で彼らは25百万ドル以上を稼いだ。ヒラリーは「困難な選択肢」と題された2014年の回想録では5百万ドルを稼いでいる。
彼女の財団はサウジアラビアやウクライナの新興成金あるいは前議員から汚い資金を受け取った。外国の十指に余る影響力のある商人が大口の寄付者となっている。こうした状況は2009年にヒラリーが国務長官に就任した以降に起こったものである。
批評家らに言わせると、大統領へ選出された場合、直接交渉をしなければならない当事国から何百万ドルもの資金を受け取っていると、大統領候補者としては深刻な利害の不一致を招くことになりかねない。
連邦法は政府や企業、個人および団体が米国の政治的キャンペーンに寄付することを禁じている。
<引用終了>

この現実は何を意味するのだろうか。
米大統領の家族が住むホワイトハウスでは、農薬や除草剤が混入しないようにと「オーガニック」食材を使って調理した食事が提供されている。一方、オバマ大統領の下で国務大臣を務めたヒラリー・クリントンはモンサントで代表されるバイオテックやアグリ・ビジネスの大企業を援護しており、GM食品や除草剤・殺虫剤のビジネスには非常に好意的である。
政治の世界ではよくあることだとは言え、このダブル・スタンダード振りは驚くばかりだ。
米国の産業界と国連の機関との間にはさまざまな確執が存在する。福島原発でメルトダウン事故が発生し、原発の安全神話が崩壊した際、われわれ一般人はWHOと国際原子力機関(IAEA)との間には奇妙な関係が存在することを知るに至った。IAEAWHOとの間の1959年の協定により、原子力や放射線に関する研究や利用についてはIAEAがすべてを管轄することになった。この協定が存在することから、WHOの本来の業務である筈の放射線の健康影響に関してはWHOは口出しをすることができない。
いわゆる「原子力村」は放射線の健康影響を自分たちの手で評価し、原発産業にとって好都合な安全神話を推進することができる環境を構築していたのである [注: 詳細については、小生の201263日付けの「チェルノブイリ原発事故での犠牲者数の推定」を参照されたい]
WHOにとっては、このIAEAへの権限の委譲は屈辱的な後退であると言えよう。
発がん性が疑われる除草剤や遺伝子組み換え作物では、そんな轍を踏むことがないようにして欲しい。WHOは巨大企業からの圧力に屈せず、全世界の農家や一般消費者の健康を守って欲しいものである。


参照:
1World Health Organization Won’t Back Down From Study Linking Monsanto to Cancer: By Derrick Broze, The Anti-Media, Mar/30/2015, theantimedia.org/world-health-organization-wont-back-down-... 
2Hillary Clinton Endorses GMOs. White House Meals are Organic: By Stephen Lendman, Global Research, May/25/2015, www.globalresearch.ca/hillary-clinton-endorses-gmos-white-h...