2016年2月10日水曜日

ジカ・ウィルス熱の発生は遺伝子組み換えを施した蚊に由来するのかも・・・



最近になって「ジカ・ウィルス感染症」とか「ジカ熱」という言葉が頻繁に報道されるようになった。

ブラジルでは昨年の1年間でジカ熱による健康被害が急速に拡大し、危機的な状況が現れている。ジカ熱に感染するとインフルエンザのような症状をもたらすと言う。しかし、最大の問題は妊婦が感染すると、生まれて来る赤ちゃんに小頭症を引き起こし、最悪の場合は死に至る。

123日の記事 [1] は次のように報告している。「ブラジルでは2015年以降ジカ熱の感染が急激に拡大した。ブラジルの保健省によると、同国では小頭症を伴って生まれてくる赤ちゃんの数は年間で平均150件前後であるが、201510月から20161月までの期間だけでも3,500件を超す。」 

それだけではなく、今年の85日にはリオデジャネイロでオリンピック競技が開始となることから、この急激なジカ熱の流行はブラジルにパニックを引き起こしている。

128日の記事 [2] によると、「各国政府は妊娠年齢にある女性の観客や競技参加者に警告を与え、特にブラジルは蚊を媒介にしたジカ熱の大流行に見舞われており、感染した場合には生まれてくる赤ちゃんに重篤な先天的異常をもたらす危険性があることから、同国への旅行を控えるよう医療専門家らは推奨している。ロシアやオーストラリアの政府は8月に開催されるブラジル・オリンピックに参加する女性選手たちについて懸念を表明しており、航空会社の多くは妊娠している女性には感染国(目下、ブラジルが最悪の状態)への旅行を控えて貰うために航空券の交換や払い戻しに応じるとのことだ。」 

現在のところ、ジカ熱に有効なワクチンや治療薬は存在しない。ただし、最近の記事によると、インドのある製薬会社が、世界で初めて、ワクチンを開発したと発表した [3]。その報告によると、「同社は4ヶ月以内に100万個のワクチンを生産することができる。動物試験や臨床試験はこれから実施されるが、新規に開発されたワクチンの有効性を検証するインド政府の医療研究審議会からの支援を求めて、すでに連携を開始している。

このジカ・ウィルスを媒介する蚊は特定の種類であって、その学名はAedes aegypti和名では「ネッタイシマカ」と呼ばれる。全世界の熱帯地域に分布する。日本でもかっては一時期見られ、デング熱が流行したことはあるものの、日本には現在定着してはいないと言われている。

このネッタイシマカの繁殖を制御する試みが推進されていた。ウィキペディアの情報によると、下記のような具合だ。(引用部分を斜体で示す。)

不妊虫放飼(ふにんちゅうほうし)は、害虫駆除の方法のひとつで、人工的に不妊化した害虫を大量に放すことで、害虫の繁殖を妨げる方法である。特定の害虫の根絶を目的に行われる

ネッタイシマカ対策:

オックスフォード大学イギリスのバイオテクノロジー企業オキシテックは、遺伝子組み換え(GM)技術で不妊化した雄のネッタイシマカを作り出した。「OX513」という単一遺伝子を組み込んだ「GM蚊」は繁殖することはできるが、子孫を残すことはできない。生まれた子供は生殖機能が発達する前に死ぬようにプログラムされているためである。

作り出した目的は、GM蚊を大量に放って野生の雌と交配させ、デング熱などを媒介するネッタイシマカを減少させるためである。現在、安全性と効果を確かめるための予備実験をマレーシアで実施中である。

読売新聞2011128の記事には、「マレーシア政府は125、遺伝子を組み換えた雄の蚊6000匹をクアラルンプールの近郊の森林に試験的に放ったと発表した」とある。また同時に、「予測できない突然変異を引き起こして、より危険な蚊を作り出すなど、生態系を攪乱するとの懸念も根強く、米英など世界116団体が計画中止を求める声明を相次いで発表している」とも書かれている。

最近、このGM蚊とブラジルで猛威を振るっているジカ熱の流行との関連性を懸念する記事 [4] が現れた。これは現在得られている知見に基づいて専門家の立場から十分に教育された仮定を推論してみた結果である。

さっそくその記事 [4] を仮訳し、読者の皆さんと共有したいと思う。


<引用開始>



Photo-1: ネッタイシマカ

2015年の8月以降、ブラジルの北東部では数多くの赤ちゃんが小頭症やその他の先天的な障害を伴って生まれてきた。すでに4,180件が報告されている。

奇形児の誕生と母親が妊娠中にジカ・ウィルスに感染していたこととの間には疑いようもない相関性があることを疫学の専門家らが指摘している。ジカ・ウィルスは1947年にウガンダで発見されたが、通常は重篤な感染症をもたらすことはない。 

この相関性はジカ・ウィルスの感染の地理的な分布と奇形児の誕生との間に証拠立てられたものである。ジカ・ウィルスは感染した胎児の羊水や他の組織からも確認され、彼らの母親からも見つかった。 

後者の知見はオリベイラ・メロ他による論文によって最近報告された。この論文は専門誌の Ultrasound in Obstetrics & Gynecology上で発表されたが、子宮内感染の証拠について報告をしている。さらには、著者らは下記に関しても警告を発している: 

「他の子宮内感染と同様に、小頭症に関する報告事例はより重篤な子供たちの事例だけが報告されているのであって、脳だけではなく他の臓器に関してより軽微な影響を受けた子供たちは必ずしも報告されていないことに留意する必要がある。」 

ブラジルのマルセロ・カストロ保健相はジカ熱と小頭症との関連性は100パーセント確かだ」と述べている。彼の見解は、米疾病対策センターを含めて、世界中の医療関係者によっても支持されている。 

オリベイラ・メロ他はこの流行の中心部分に存在する未解明な事柄に特別の注意を促している: 
「胎児の段階でジカ・ウィルスに感染した事例がまだ報告されてはいないのはいったいどうしてなのかを説明することは非常に難しいが、多分、これはそのような事例は実際よりも少なめに報告されていたり、流行地域においては早期に免疫性を獲得したとか、この病気がまだ良く知られてはいないこと、等によるものかも知れない。」 

ウィルスの遺伝子が変化していることが報告されていることからもっと伝染力が強い性質をもった新たなウィルスの可能性を考慮する必要もある。もっと数多くの事例についてその原因を突き止め、病理学的な証拠を見い出し、他の因果関係の可能性を排除することができなくなるまで(そういった考慮をする必要がある)。」

そして、もっとも重要な疑問は次の点にある: この可能性は高いが、もしもジカ・ウィルスが本当に問題であるならば、この比較的無害と見られていたウィルスがこれらの重篤な先天性異常を胎児に引き起こす新たな能力をいったいどのようにして獲得したのであろうか? 


オキシテック社のGM蚊: 

先週のことだが、クレアー・バーニッシの素晴らしい記事AntiMediaに発表された。これは主流メディアの関心を捕らえることにはならなかったものの、本テーマに関係する興味深い側面を提示し、大きな関心を呼んでいる。この論文はジカ熱の発生とAedes aegypti 種の遺伝子操作を施して不妊化した雄の蚊を放出した場所との相関性について指摘したものである。 (下に示す地図の右側を参照。出典: Zika Outbreak Epicenter in Same Area Where GM Mosquitoes Were Released in 2015: By Claire Bernish, Jan/28/2016)



Photo-2: ジカ熱の発生とGM蚊を放出した場所との相関性

このGM蚊を放出する目的は死をもたらす可能性を持つデング熱を媒介する蚊の個体数を制御することが可能であるかどうかを観察することにあった。ところが、この種類の蚊はジカ・ウィルスをも媒介するのである。

GM蚊の放出は2011年と2012年にブラジルの北東部、バイーア州のフアゼイロ市郊外のイタベラバで行われた。海岸都市のレシフェからは約500キロ西に位置する。この実験は専門誌のPLOS Neglected Tropical Diseases 20157月に発表され論文の表題は Suppression of a Field Population of Aedes aegypti in Brazil by Sustained Release of Transgenic Male Mosquitoesで、著者はDanilo O. Carvalho他である。

移動距離を測定するための最初の放出は一週間当たり30,000匹の割合で2011519日から629日まで実施され、2012年の当初から211日までの期間は一週間当たり540,000匹の割合で放出が行われた。

この実験の終わりに科学者らは「OX513というAe. Aegypti雄のGM蚊を継続して放出することによってAe. Aegypti個体数を有効に制御した」と主張した。「成虫捕獲データによると、われわれはAe. Aegypti個体数を95パーセント(95%信頼区間:92.2%-97.5%)も減少せしめた。また、近隣の対照区域と比較したオビトラップ指数によると、蚊の個体数は78パーセント(95%信頼区間:70.5%―84.8%)の減少となった。」 


とすると、一体何が心配なのか?

オキシテック社の蚊に関する考え方は非常に単純だ: 雄は成長することができない子供を作り、これらはすべて死亡してしまう。こうして、GM蚊は自滅し、改変遺伝子は自然のままの個体としては生き残れない。すべてが明快で、心配すべきことなんて何もない! 

しかし、現実はそう単純ではない。2010年、遺伝学者のリカルダ・シュタインブレヒャーはオキシテック社の蚊を放出することを念頭に置いていたマレーシアのバイオ・セーフティー当局に宛てて手紙を書いた数多くの安全上の懸念を表明し、Phuc他による2007年の知見を指摘したのである。それによると、実際には第一世代の蚊の3-4パーセントが生き延びていたのである。

オキシテックが採用した遺伝子組み換え手法においては蚊の繁殖中にその死亡率を軽減するために簡単に入手できる抗生物質、テトラサイクリンが使用される。そして、その副次的影響として、蚊の死亡率は環境中に存在するテトラサイクリンによっても低下する。著者のバーニッシが指摘しているように、ブラジルは商業目的の農業分野では抗生物質を世界でももっとも多く使用する国のひとつである: 

「米国農学会による研究報告は次のように説明している: 抗生物質の約75%ほどは家畜によって吸収されることなく、体外に排出される。環境中に頻繁に見い出され、この報告書が具体的に名称を列挙している抗生物質のひとつがテトラサイクリンである。

事実、2012年に特定の人たちだけに漏らされた機密のオキシテック社の内部文書によると、生き残り率は15%にもなり、これは、しかも、非常に低レベルのテトラサイクリンの存在下での話である。GM蚊の死亡率はほんの少量のテトラサイクリンによってさえも抑制されるのである。何と、この15%という生存率はオキシテックによって記述されたものだ。」 

さらに、著者はその漏洩文書を次にように引用している: 

「多くの実験計画法について試験が行われ、比較を行った結果、研究者らはOX513Aの蚊の幼虫にはキャットフードを給餌する手法を選んだ。このキャットフードには鶏肉が含まれている。鶏に伝染性の病気が蔓延するのを防ぐためにテトラサイクリンが日常的に用いられていることは衆知の通りだ。低価格で大量に生産され、動物の飼料用として供給される鶏の場合は、特にそうである。鶏肉は使用の前には熱処理を受けるが、それだけですべてのテトラサイクリンが排除されるわけではない。これが意味することは少量のテトラサイクリンが餌を介して蚊の幼虫に与えられ、設計上では蚊を死滅させる筈のシステムを抑制してしまったということだ。」 

換言すると、オキシテック社のGM蚊にとっては自然界のAedes aegypti 種の蚊の間で生き残れる何らかの可能性が存在するということになる。特に、テトラサイクリンが存在する環境中ではそう言える。テトラサイクリンは下水、浄化槽、汚染された水源池、農業廃水、等、どこにでも存在する。


「見さかいなく」ジャンプする遺伝子: 

表面的には、オキシテック社のGM蚊が自然界に広がって行き、ブラジルで小頭症の赤ちゃんが次々に生まれることへと繋がっていく道筋は見えない。それとも何らかの関係があるのか? 

実際には、関係がある。問題は「転移因子(あるいは、トランスポゾン)」(目標とする生物へ新しい遺伝子を導入するために遺伝子組み換えの過程で用いられる遺伝子の移動)の使用にある。その使用に供される特定のDNA配列にはいくつかがあるが、もっとも一般的に用いられている転移因子のひとつは「piggyBac」と称されている。

2001年のMae Wan Ho博士による総説が示しているように、piggyBacは非常に活性が強いことで知られており、意図した目標を超えて遥か先にまで自己の遺伝子を挿入する:

「これらの見さかいなくジャンプする転移因子は遺伝子工学者には好意を持って迎えられた。彼らの目標のひとつは地上の生物種のすべてに遺伝子を転移することができるような共通システムの開発である。何らかの障害があろうとは遺伝学者は誰も考えなかった・・・ 

「導入された転移因子ベクターは導入された位置から簡単に飛び出して、同一ゲノム上の他の位置へとジャンプする。あるいは、まったく関係のない他の生物種のゲノムへとジャンプするかも知れない。これは明らかに起こり得ると思われる。この夏米農務省が放出したGMアメリカタバコガ(あるいはワタアカミムシガ)の幼虫に用いられたpiggyBac転移因子ではすでにそうした兆候が見い出されている。

「このpiggyBac転移因子はキャベツシャクトリムシ(Trichopulsia)の蛾の細胞培養において発見された。そこでは細胞に感染しているバキュロ・ウィルスの遺伝子へジャンプすることによってバキュロ・ウィルスに高頻度の突然変異を引き起こした・・・ 後に、この転移因子は、ミバエやショウジョウバエ、黄熱病を媒介する蚊(Aedes aegypti)、あるいは、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)、ならびに、キャベツシャクトリムシを含めて、広範な種において活性を持っていることが発見された。

「このpiggyBacベクターはmariner37倍、Hirmarのほぼ4倍にも相当するような高頻度の転移を引き起こす。」 

2014年後半の報告書でMae Wan Ho博士は詳細な追加情報や新鮮な科学的証拠を携えて本テーマに戻ってきた(参照の際には、彼女の原論文を引用されたい): 

piggyBac転移因子はキャベツシャクトリムシ(Trichopulsia)の蛾の細胞培養の際に発見された。そこでは細胞に感染しているバキュロ・ウィルスの遺伝子へジャンプすることによってバキュロ・ウィルスに高頻度の突然変異を引き起こした・・・

「導入遺伝子を運ぶpiggyBac ベクターは、不活性化されたとしても、たとえボーダーの繰り返し体という最低限度にまで裸にしたとしても、依然として複製することが可能で、周囲に広がっていく。何故かと言うと、piggyBac の挿入部を移動可能にする転移酵素はあらゆるゲノムに存在している転移因子によって提供することができるからである。

「昆虫の制御において転移因子をベクターとして使うことを当初考えた主な理由は、転移因子は個体群の中で、メンデルの法則にしたがわずに、導入遺伝子を急速に転移させることができる、すなわち、転写を繰り返し、ゲノムの内部へジャンプし、そうすることによって昆虫の個体群の中へ特定の形質を導入するのである。しかしながら、当事者である研究者らは転移因子がヒトを含む哺乳類のゲノムへもジャンプすることができるという事実を無視してしまった・・・ 

「不安定な性質や結果として遺伝毒性が起こるにもかかわらず、piggyBac転移因子は、ヒトの遺伝子治療も含めて、幅広く用いられることになった。ヒトのT細胞も含め、いくつかのヒトの細胞株がpiggyBacを用いて遺伝子導入が行われた。これらの知見から、転移因子によって運ばれて蚊に導入された遺伝子はヒトの細胞へも水平に導入されてしまうということについてはもはや疑いの余地はない。このpiggyBac転移因子は挿入による突然変異をゲノム全域にわたって誘発し、多くの遺伝子の機能を混乱させる。」 


遺伝子組み換えによる悪夢がついに現実のものとなったのか?

ここで、もっとも基本的な質問へ戻ることにしよう: フアゼイロで放出されたオキシテック社のAedes aegypti種の雄の不妊蚊はpiggyBac 転移因子を用いて作り出されたのだろうか?その通りだ!したがって、この事実は非常に深刻な可能性を引き起こすことになる。つまり、オキシテックのGM蚊の放出が直接的にブラジルにおける小頭症の流行をもたらしたのである。その過程は下記の通りだ: 


1.   2011年から2012年にかけてフアゼイロで放出されたオキシテックの何百万匹もの蚊の多くは、環境中に存在するテトラサイクリンに助けられて、しかし、それに依存することもなく生き残った。
2.   これらの蚊は野生の個体群と異種交配し、新奇な蚊の遺伝子が広がって行った。
3.   見さかいのないpiggyBac転移因子は今やこの地域に生息するAedes aegypti の個体群中に存在し、ジカウィルスの中へジャンプする機会がやって来た。多分、多くの機会に恵まれたことだろう。 
4.   突然変異を起こしたジカ・ウィルスの株は選択的な利点を獲得したが、その過程においてジカ・ウィルスは伝染力を強め、ヒトへ侵入し、ヒトのDNAを混乱させる能力を強化した。 
5.   このことが明白になったひとつの姿としては、ヒトの胎児が子宮内で成長する非常に重要な段階において混乱を受け、小頭症を引き起こし、その他の先天性障害をもたらした。メロ・オリヴェイラ他が警告しているように、現時点では未発見の先天性障害が存在するかも知れず、これはほとんど間違いないという点についても留意されたい。  
6.   piggyBac 転移因子は遺伝子操作されたジカ・ウィルスに暴露された子宮内で赤ちゃんのDNAへ入り込んだものと思われる。確かに、これは胎児の生育を混乱させた過程の一部を構成したのである。 


後者の場合、ひとつの可能性として遺伝子の作用を阻止するには、妊婦にテトラサイクリンを投与することによってその作用を阻害することができるかも知れない。成功する機会は恐らく低いかも知れないが、試してみる価値はある。


GM昆虫の放出を中止せよ! 

私は以上が実際に起こったのだと主張しているわけではない。少なくとも、上記は考え得る仮定のひとつであって、この仮定が正しいかどうかを見極めることは可能だ。遺伝子技術者にとっては、piggyBac転移因子が存在しているのかどうかを確かめるために、十二分に確立され、非常に繊細なPCRポリメラーゼ連鎖反応)技法を駆使して羊水や胎児の血液、野生のAedes 種の蚊、ならびに、ジカ・ウィルスについてテストを行うこと以上に厄介な作業なんてそうざらにあるものではない。

もしも上記が実際に起こったのだと証明することができれば、一般論的にはGM作物全体に関して、各論的には見さかいもなくジャンプする転移因子を運ぶGM昆虫の放出に関して警告を発している人たちはあらゆる意味で正しかったことが証明されよう。

しかし、もっとも重要なこととしては、ここに報告したような実験、ならびに、GM昆虫の放出計画はいかなるものも直ちに中断し、上記に述べた可能性が安全に排除することができるようになるまでは中止し続けなければならない。たとえば、同様の手法を用いてマラリア対策として開発されたAnopheles 種のGM蚊を放出する計画もあるのだ。

また、ジカ・ウィルスのまん延を防ぐためにオキシテック社のAedes aegypti 種のGM蚊をもっとたくさん放出するよう求める声もある。そんなことが実施されたとしたら、ヒトのゲノムにもっと多くの損傷を与える潜在力を持った新しい突然変異種のウィルスが数多く出現するかも知れない。現時点では、われわれはただ推測するだけである。

著者のプロフィール: オリヴァ―・ティッケルはThe Ecologist誌を編集しており、 この論文は同誌で最初に掲載された。

<引用終了>


専門用語が多く、最初は手ごわい感じがしたが、馴れて来るにつれて、ついには著者が懸念する内容や議論の展開にすっかり引きずり込まれている自分を発見した。非常に興味深い内容である。また、興味深いだけではなく、最先端技術といえども人類の英知が如何に底の浅いものであるかを痛感させられる。

「当事者である研究者らは転移因子がヒトを含む哺乳類のゲノムへもジャンプすることができるという事実を無視してしまった・・・」との鋭い指摘がある。これはヒトの安全性を考えると、致命的な間違いだ。

「不安定な性質や結果として遺伝毒性が起こるにもかかわらず、piggyBac転移因子は、ヒトの遺伝子治療も含めて、幅広く用いられることになった。ヒトのT細胞も含め、いくつかのヒトの細胞株がpiggyBacを用いて遺伝子導入が行われた。これらの知見から、転移因子によって運ばれて蚊に導入された遺伝子はヒトの細胞へも水平に導入されてしまうということについてはもはや疑いの余地はない。このpiggyBac転移因子はゲノム全域にわたって挿入による突然変異を誘発し、多くの遺伝子の機能を混乱させる」と、著者は言う。このくだりは現代の科学が持つ無責任さを露呈したものだと言えよう。

何時の日にか、熱帯に生息するこのGM蚊のジカ・ウィルスが日本に生息する蚊(ヒトスジシマカ、アカイエカ、チカイエカ)にジャンプする可能性があるのではないか。そうすると、日本でも小頭症の発生が起こるかも知れないのだ。蚊の撲滅という作業の難しさを考えると、この可能性は決してゼロではない。

現代の科学はさまざまな形で自然に向かって挑戦をしているが、多くの課題で自然に打ち負かされているのが現状だ。既存の抗生物質に耐性をもったスーパー・バクテリアが登場し、地球の温暖化現象については異論続出で、気象学者の間では統一された理解は今も得られてはいない。遺伝子組み換え食品の長期的安全性はまだ実証されてはいない。このGM食品に関する懸念については、ある専門家の議論および見解をこのブログにも掲載したばかりである(「芳ちゃんのブログ」を参照されたい。20151224日掲載の「不信感が募るばかり - 遺伝子組み換え作物のリスク評価は欠陥だらけ」)。

はっきり言って、われわれ人間は自然の奥深さをまったく理解してはいないのだ!

以上はまだ証明されてはおらず、ひとつの仮説から出発した議論でしかないが、今後の情報に関心を寄せて、より正確な理解をしていきたいと思う次第だ。



参照:

1Zika virus: What you need to know about the latest global health scare: By RT, Jan/23/2016,  http://on.rt.com/72jc

2Could rampant Zika virus that causes deformed babies stop the Olympics? Rio faces crisis as female spectators and athletes are warned not to go: By Flora Drury, Mailonline, Jan/28/2016

3Indian Company Says Developed First Zika Vaccine: By Sputnik, Feb/03/2016, sputniknews.com/world/.../india-first-zika-vaccine.html

4Pandora’s Box: How GM Mosquitos Could Have Caused the Zika Virus Outbreak: By Oliver Tickell, Feb/02/2016, www.counterpunch.org/.../pandoras-box-how-gm-mosquitos-...





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