2016年7月31日日曜日

自作自演のテロ行為 ― 死人に口なし



ヨーロッパではテロ行為が続いている。

米国と欧州によって破壊し尽くされたアフガニスタン、イラク、リビア、シリア、等から身の安全を求めて祖国を脱した難民が、昨年の夏、ヨーロッパを襲った。そして、ヨーロッパは今頻発するテロの恐怖にさらされている。テロ行為の本質は人々の心に恐怖心を植え付けることにある。人が多く集まる鉄道の駅や空港、市場、レストラン、イベント会場はテロに見舞われやすい。

ヨーロッパで最近立て続けに起きたテロに関して、一部の識者はこれらのテロ行為には共通の側面があって、それらの側面が何を物語っているのかと言うと、それらは自作自演を示唆していると指摘する。

もちろん、こういった指摘は少数派である。しかしながら、頭をもっとも悩ます問題は、それが見過ごされて来た真実や歴史的な経験知を含んでいる限り、少数意見であろうがなかろうが、その意見は無視するべきではないし、無視し続けることはできないという点にある。

ここに格好の記事 [1] がある。

この記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。


<引用開始>

ドイツ、ババリア地方のビュルツブルグでまたもや自作自演のテロが起こった。列車の中で4人の乗客が若者に襲われた。その後、通りの歩行者も襲われた。こういった場面が繰り返されている。そして、その頻度は高まっている。パリ、ブリュッセル、ニース、バングラデシュ・・・と、同一のパターンが見られ、同一の動機である。そして、同一のテロ・グループが犯行を表明している。嘘とプロパガンダがますます言語道断となり、我々一般市民はその報道を鵜呑みにしている。何の疑念も挟もうとはしない。いったい何時までこの状態が続くのであろうか?手遅れになるまでずっと待つことになるのかも知れない。我々の皆が兵隊にとられ、周囲の監視もなしに移動することができなくなるまで、あるいは、逆らったかどで殺されるまで?

いったいどれ程長く待たなければならないのか!

友よ、世界中の同胞よ、教えてくれ!いったいどれ程長く当局の言う事を傍観し、我々に信じて欲しいと思う事をそのまま受け入れ続けなければならないのか?彼らは彼らを動かし、彼らに給与を支払っているエリートたちの目的のために仕えているだけではないか!民主主義を棺に納めるための最後の釘を打ち込むために、大企業や金融界のエリートらは軍国化した社会を必要としているのではないのか?主権も、個人の自由さえも葬り去ろうとしているのではないのか?

いったいどれ程長く?

スイスやドイツのさまざまなメディアの報道によると、718日、ババリア地方のビュルツブルグの近郊において、1年前に難民としてドイツへやって来た17歳の若者が、列車で旅行中の上海からやってきた旅行者一家を襲い、その後、通りで通行人を襲った。凶器は斧とナイフだった。これらの5人は全員が負傷し、少なくともふたりは重症である。彼の犯行の動機は不信人者、つまり、コーランを信じない者に対する復讐であると報じられている。大手のメディアは、目撃者の話によると、犯行中に何度も「神は偉大なり!」と叫んでいたと伝えている。しかし、この目撃者とはいったい誰なんだろうか?

この列車が急停車をした際、犯人は列車から飛び降りて姿をくらました。その逃走中に、歩行者を襲った。警察の特殊部隊の一員が偶然にも(この言葉は大手メディアが使った文言のままだ)その場に居合わせた。若者を追跡し、犯人を殺害した。正当防衛だった!実に見事だ!ガッチリと武装したドイツの警察官が斧とナイフを持っただけの17歳の若者を射殺した。正当防衛だと言う! 

又もや、死人に口なしだ。

こうして、ビュルツブルグの上級検察庁は今や自由に自分たちの筋書きに沿った情報を流すことができる。つまり、この攻撃があった数時間後には、ISISがこの攻撃について犯行声明を出したこと、犯人のもとから押収されたビデオでは彼が「復讐」を誓っていること、警察は彼が賃貸していた部屋で手描きのISISの旗を見つけたこと、そして、彼の父親に宛てたものと思われるお別れの手紙が見つかったこと、等。この若者、つまり、テロリストの名前はこの時点では公表されてはいない。

今朝、Amaq と称されるISIS(別称、デーイッシュ)のプロパガンダ用のものと思われるサイト(このサイトがいったい誰のものなのかについて誰か検証してはいないだろうか?)がISISの若い兵士をビデオで紹介した。この兵士はこう言っている。「俺はISISの兵士だ。これからドイツで聖なる作戦を展開する」と。そして、この若者はナイフを振り回した。ドイツの捜査当局はこのナイフがビュルツブルグのテロリストが列車内の襲撃で振り回したものと同一のナイフかどうかを調査しようとしている。

私は冗談を言っているのではない。これこそがドイツやヨーロッパのメディアが一般大衆に鵜呑みにして欲しいと思っている筋書きなのだ。彼らの嘘がますます言語道断になり、これらの犯罪を犯した真の容疑者によって、あるいは、パリやサン・バーナディーノ、オーランド、ブリュッセル、バングラデシュで自作自演の行為によって殺害された被害者のことなどは犯罪捜査当局の関心事ではないのだ。こうして、テロ事件のリストは続き、長くなる一方だ。

これは新たに始まったポール・クレイグ・ロバーツが描くところのCIA主導の「グラディオ」作戦 そのものだ。この作戦は自由な思考を潰し、恐怖感を広め、市民を従順にさせるためのものだ。「グラディオ」とは第二次世界大戦後にCIAがフランスや、特に、イタリアで共産党を壊滅する目的で立案し、実行した作戦の名称である。後に調査を行った判事によって公にされた一連の自作自演の行為によって(これらの事件との関連性を見つけようとしていた人たちにとっては余りにも遅い公表ではあったが)、この作戦は成功し、左翼は分断され、少数となった人たちは恐怖に曝されて「ソ連邦」というとてつもない危険に対して戦う偽物の「冷戦」を支持することになった。いったい誰が得をしたのだろうか?当然ながら、得をしたのは1960年代から1970年代にかけての軍産複合体であり、人間中心主義の天敵たちだ。さらには、ワシントン政府やNATOならびに米国の追従者役を演じたヨーロッパの国々の少数のエリートたちである。そして、この構図は今日も続いている。

恐怖におののく一般市民は警察や軍による防護を求める。操り人形であるヨーロッパの政治家にとって、議会で法案を通過させ、憲法を改正することなんて朝飯前のことだろう。そうすることによって、恒常的な戦時体制あるいは戒厳令を敷き、法制化してしまうのだ。よりによってフランス革命記念日に起こったニースでの自作自演の虐殺を受けて、フランスは恒常的な戦時体制あるいは戒厳令を敷く最初の国となるのかも。

ヨーロッパは一般市民による抗議を抑圧するために軍国化しなければならない。「権力者」が市民たちに対して課そうとする将来の野蛮行為に関して市民が立ち上がるかも知れないのだ。たとえば、TTIP(環大西洋貿易投資連携協定)だ。これは、目下、ブリュッセルで選挙で選ばれたわけでもない職員らの手によって秘密交渉が行われている。EU加盟国によって署名され批准されると、TTIPは民間企業によって設立される調停裁判所が各国の主権を防護する筈の裁判所や法制度の上位に位置することになる。その結果、ヨーロッパ市民はまさに奴隷の身分に陥り、ありとあらゆる苦難が彼らを待ち受けることになる。

軍国化は迫りつつあるNATOの脅威から人々の関心を引き離すことだろう。その結果、NATOはロシアに向かってさらに前進し、ロシアを第三次世界大戦へ突入させようとする。その戦場はまたもやヨーロッパだ。当然のことながら、米国本土は戦場とはならない。もちろんだ!これはワシントンが画策した戦争のせいでヨーロッパがこの一世紀の間に被る三度目の戦争となる。 そして、人類は完全に消滅することになるだろう。あるいは、中世に存在した農奴のような連中が生き残り、世界規模のホロコーストの間は地下の核シェルターに潜んでいたエリートたちが表へ出て来ると、これらの連中はエリートらの奴隷として仕えることになる。ほとぼりが冷めると、エリートたちは常日頃望んでいたことのすべてを自分の手中に収める。地球上に残されたすべての資源を手に入れるのだ。しかも、73億人もの人口を保護し、彼らと資源を共有することなんてもはや必要がない。

この邪悪に満ちたグループの最終目的をもう一度吟味しておこう。彼らの最終目的は世界のエネルギー資源や市民ならびに資金を完璧に統治することにある。この計画は決して新しいものではない。これは70年代に悪名高いビルダーバーグ・ソサイエティーの中心的な存在であったキッシンジャーによって提唱された。彼はこう言った。「エネルギーをコントロールする者は全大陸を制し、食糧をコントロールする者は市民を制し、資金をコントロールする者は全世界を制する」と。 

我々は間もなくそのような世界に到達するのかも知れない。しかし、依然としてストップさせることも可能だ。遅すぎることはない。直接的な手法のひとつとしてはEUやユーロ通貨を排除し、ヨーロッパからNATOを取り除くことだ。英国のEUからの離脱は我々に希望を与えてくれた。この出来事は他の国々がこの残忍なブリュッセルの領土から脱出することが出来るという希望を与えてくれた。ヨーロッパを抑圧するこれら三つの首枷、即ち、EU、ユーロおよびNATOは何よりもヨーロッパ自身の考えだった。これらは第二次世界大戦中およびその直後に現れたマキャベリ的で、秘密に満ちた、目には見えない米国政府の背後にいるエリートたちが実行したことであり、将来の統治に関する概念であって、彼らの望みを実現するためのものでもあった。そして、依然として今も彼らは同じことを実行しようとしている。米国の従属国では、協力者あるいはぼけ役が国民を抑圧する。

光を再び見るまでには上記のような虐殺を何回見届けなければならないのだろうか?

著者であるピーター・ケーニッヒのプロフィール: 経済の専門家であり、地政学的な分析専門家である。以前は世界銀行に勤め、環境や水資源に関して世界を股にかけて仕事に従事してきた。彼はGlobal ResearchICHRTSputnikPressTVChinese 4th MediaTeleSURThe Vineyard of The Saker、その他のインターネットのサイトのために定期的に執筆している。彼はImplosion – An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greedの著者である。この著作は事実に即したフィクションであって、30年におよぶ世界銀行での彼の勤務を反映したものでもある。また、彼はThe World Order and Revolution! – Essays from the Resistanceの共著者でもある。

この記事の発行元はGlobal Research
Copyright © Peter Koenig, Global Research, 2016

 <引用終了>


これで仮訳は終了した。

何ともおどろおどろしい内容である。体制派のジャーナリストはこの種の指摘は陰謀論に過ぎないとして一蹴するかも知れない。しかしながら、この記事には単に陰謀論だと決めつけることが出来ないような説得力のある要素が何点か見られる。

最大の要素はテロの容疑者あるいは犯人が殺害されているという点だ。「果たして殺害する必要があったのか」という疑念が湧いてくるようなケースがある。結局、この著者が主張しているように、死人に口なしの状況が作り出されている。たまたま結果としてそうなっただけなのか、それとも、故意にそのような状況を作り出したのか?もしも当局が何らかの筋書きを持ってテロに対応しているならば、言うまでもなく、当局にとっては犯人を殺害してしまった方が遥かに好都合だ。

とことん疑ってかかると、犯行声明を出したISISさえもが疑わしい。すでに公知の事実となっているように、アルカイダやISISはそもそもが米国が作った組織であって、さまざまな政治的・軍事的な状況に活用されている。たとえISISには関係を持ってはいない単独犯であったとしても、ISISが犯行声明を出すと、そうかも知れないと誰もが思う。ISISあるいはイスラム過激派に対する恐怖心が一般市民の意識の中に植え付けられていく。こうして、ISISの犯行声明は大きな効果を挙げる。そして、ISISとは関係がなかったと断定できる本人はすでに殺害されており、真実を喋ることができる者はもういない。

また、幾つかのテロではテロの実行犯が使っていた車の中からは決まってシリア政府発行のパスポートが見つかった。このパターンが繰り返された。事情通に言わせると、シリア政府のパスポートには偽造品が多いのだそうだ。また、CIAなどの諜報部門は過去に成功した事例を繰り返して計画に組み入れることが多いとも指摘されている。

これらの謎について直接喋ってくれる当事者はもういない・・・


♞  ♞  ♞

さて、前出の意見を検証して、少しでも客観性を高めておきたいと思う。そのために、もうひとつの記事 [2] を下記に引用してみよう。


<引用開始>

米国やその他の西側諸国ならびにイスラエルにおいてはイスラム教徒は格好のいけにえ役を負わされている。フランス革命記念日にニースで起こったテロ事件によってイスラム教徒恐怖症がまん延し、喧伝されている。

西側のメディアはトラック運転手のモハメド・ラフエジ・ブフレルが単独でトラックを暴走し、発砲し、ニースで花火の見物にやってきていた市民を200人以上も殺害、数多くの人たちを負傷させたと報じている。この報道は信頼性に挑戦しようとしているかのようだ。 

しかし、たった一人でこれ程多くの人を殺せるものだろうか?常識的な論理で言えば、これは複数の犯行である。多分、CIA、モサド、あるいは、フランスの治安警察が秘密裏に絡んでいたのではないか。

たとえそれが出来の良くないハリウッド映画を思わせるような内容であったとしても、民衆を扇動するような報告が実際には視聴者の関心を高め、テロリストによる脅威を煽り、恐怖感を呼び起こし、庶民を巧みに操って、普通ならば反対することについてさえも従順に従わせてしまう。

ブフレルは警官に撃たれ、殺害された。何も喋ることはできない。そして、都合のいいことには、残された身分証明書や携帯電話および銀行カードによって彼の身元が割り出された。

周到に計画された犯罪の現場へそういった物品をいったい誰が持ち込むだろうか?もしも生きたまま捕まったら、簡単に身分が割れ、逮捕されてしまう危険性がある。警察はトラックの中で火器や爆発物を発見したと言う。しかし、このことに関しては、独立した、裏付けとなる報告は入手できないままである。

フランスのフランソワ・オランド大統領は緊急事態の適用期限を延長した。彼は警察国家としての特別権限をさらに9月末まで3ヶ月間の延長をしたのである。

多分、他のヨーロッパ諸国でもこれが恒久化するのかも知れない。2001914日、ジョージ・ブッシュは布告7463を宣言した。これは「テロリストによる攻撃を受けて、国家緊急事態を宣言する」ものであった。

それ以来、この布告は毎年更新されているが、メディアによる報道はない。米国にとっての脅威は米国自身が作り出す脅威である。国内におけるテロ攻撃は政府がスポンサーだ。

米国内ではイスラム教徒による脅威は記憶にはない。多分、永久に起こらないだろう。罪のないカモがそれらしく見えるように仕立て上げられる。自作自演による嘘っぱちはこのようにして機能するのだ。

金曜日に、オランド大統領はイスラムに対する戦争を一段と格上げし、国内での追及をさらに厳しくし、「シリアやイラクでの軍事行動」を強化すると述べた。

大西洋の両岸で恐怖が煽り立てられ、西側の指導者たちはこの機会を好機として捉え、次の動きを模索している。

ブフレルは他の都合のいいカモと同様に巧妙に仕立て上げられたのだろうか?彼は本当に悪党なのか?それとも、もっと悪魔的な陰謀が企てられているのか?

国家をスポンサーとしたテロがニースでの虐殺を引き起こしたのではないだろうか?もっともっと大きな帝国主義的な狂気がこれからやって来るのではないか?人間性や人権を排除するために、それらに対してより厳しい弾圧が行われるのではないか?

ヒラリー大統領候補はNATOを強化したいと言う。いままで実現されている以上に平和や安定性を確立するために戦争の抑止力にしたいと言う。トランプ候補は「これは戦争だ」と言った。大統領に選出された暁には、彼はISISに対して宣戦を布告すると威張り散らした。具体的にどのようにして、何処で、どの程度に、如何なる法的な根拠に基づいての話であるのかに関しては彼は説明をしなかった。

前米下院議長のニュート・ギングリッチはシャリア(イスラム法)を禁止するように求めた。その後には、今以上に大規模なイスラムに対する戦争が始まるのだろうか?

ウオールストリート・ジャーナルの編集者たちは「我々の時代ではついにジハドが標準的な想定となった」と言って、イスラム恐怖症を煽っている。

彼らはNATOの強化を喧伝し、「21世紀の蛮行」から自由を守るのだと恥じらいもなく主張して、現実は無視しようとしている。

人間性に対して国家がスポンサーとなる戦争はテロリズムの内ではもっとも極端な形である。もっともっとたくさんのテロが起こることだろう。帝国主義の犠牲者は際限もなく増え続ける。

スティーブン・レントマンはシカゴに在住。彼の電子メールアドレスは次の通り: lendmanstephen@sbcglobal.net. 

彼の最近の著作は「Flashpoint in Ukraine: US Drive for Hegemony Risks WW III」と題されている。

URL: http://www.claritypress.com/LendmanIII.html

彼のブログ・サイトはsjlendman.blogspot.com

著名なゲストとの間で交わされる、突っ込んだ議論をプログレッシブ・レイディオ・ネットワークからの番組、「プログレッシブ・レイディオ・ニュースアワー」でお楽しみください。

<引用終了>


これで仮訳は終了した。

仮にニースで起こったテロ事件においてフランス政府が影のスポンサーであったとするならば、その目的は何か?著者は明確には指摘してはいない。しかし、この記事の文脈によると、フランス政府は戒厳令を少しでも長く継続させたいのである。何の目的で?それは(背後にいるエリートたちのために)フランス政府が提案している新たな労働法が労働者の間では非常に不人気で、数多くのデモが行われており、彼らが採用したい政策の邪魔をしているからだ。政府はこのデモを何とか回避したいのだ。これから施行されるTTIPは数多くのデモに見舞われるかも知れない。そのための準備でもある。市民をテロの恐怖から守ると見せかけて、多国籍企業や資本家たちの利益のために、戒厳令によって労働者にはデモを起こさせない。さらには、労働者の賃金を低く押さえるための新労働法をすんなりと設立させたいのだ。こう言ってしまうのはせっかち過ぎるだろうか?

半世紀前のグラディオ作戦ではイタリアの共産主義者がスケープゴートとなった。21世紀のグラディオ作戦ではイスラム教徒がスケープゴートとなる。役者が変わっても、エリートたちの作戦の本質はまったく変わってはいない。

上記にご紹介したような内容が新しいトレンドとして定着しないことを祈りたいが、予断は許されない。現状を冷静に注視していく必要があるのは確かだ。



参照:

1Terrorism and “False Flags”. “Dead Men Don’t Talk”…: By Peter Koenig, Global Research, Jul/20/2016, www.globalresearch.ca/terrorism-and-false-flags-dead-men-do... 

2Hyping Terrorism, Stoking Fear Following Nice, France Incident: By Stephen Lendman, Jul/15/2016, sjlendman.blogspot.com/.../hyping-terrorism-stoking-fear-foll...






2016年7月25日月曜日

なぜNATOはロシアを最大の敵として見るのか?なぜイスラム国ではないのか?



日本ではいわゆる全国紙を購読することが当たり前のように受け止められている。全国紙が存在することによって、大都市や田舎の区別もなく、一般市民が同一の情報を共有できるということは素晴らしいことだと思う。

しかし、その全国紙が、読者には気付かれないような形で、強力なプロパガンダ・マシーンとしても使われているとしたらどうだろうか。一例を挙げると、「日本のメディアが誰にも喋って欲しくはないこと 」と題してある専門家の意見を711日に投稿した。そして、この投稿は思いがけない程多くの皆さんに読んでいただいている。

現実のさまざまな事象を見ると、実際には「この当たり前の事が必ずしも当たり前ではないんじゃないか」ということにうすうす気付いておられる方が決して少なくはないようだ。

このブログを読んでいただいている皆さんにはそれぞれの方々が購読している全国紙ではカバーし切れない部分を多かれ少なかれ補填してくれているものと期待する。日本の全国紙から見える世界の姿は海外の主要なメディアが描くそれ(つまり、米国の新資本主義、グローバリズム、等にとって都合のいい世界観)とほとんど変わりはないが、代替メディアが報じている実情とは大きく異なる。日本の全国紙では入手できないような情報を少しでも多くお届けすることによって、それらの情報が何らかのテーマを理解する上で読者の皆さんに有用であったり、何かの判断を下す際に中心的な、あるいは、補助的な役割を演じてくれるとするならば、当ブログを掲載する小生にとっては嬉しい限りだ。

本題に入ろう。

「ロシアの脅威」とか「ロシアの侵略」という言葉が毎日の様に聞こえてくる。なぜかと言うと、米国や西側の大手メディアが政府の方針に沿って、飽きることもなく、プロパガンダを繰り返しているからだ。

ロシアの国営企業のひとつで船舶業に従事するソブコムフロット社が、623日、75千万ドルの社債を無事に発行したことを受けて(社債発行を代行する企業として、ニューヨークのDTC,ブリュッセルのユーロクリアーならびにルクセンブルグのクリアーストリームが関与)、米国の対ロ経済政策が緩和され始めたのではないかとの観測が出ているが、これはまだほんの氷山の一角に過ぎない。米ロ間の情報戦争はしっかりと続いている。特に、米国から発せられる情報はそれこそあらゆる機会をとらえて、休むこともなく、毎日繰り広げられている。日本もその戦場のひとつだ。しかも、重要な戦場のひとつとなっているようだ。

前の投稿(719日の掲載分)では、最近ポーランドのワルシャワで開催されたNATOのサミットに関するロバート・パリーの意見をご紹介した。28ヶ国の首脳が集まったこのNATOサミットを評して、彼は「狂気か、それとも嘘の塊りか? NATOはロシアに関して偽りの物語を再び確認」と題してこのサミットを酷評している。

ロバート・パリーは、ウクライナ危機について当初から独自の詳しい報告を行い、調査報道に徹してきたジャーナリストのひとりだ。つまり、ワシントン政府が喧伝したいウクライナ情勢に関する公の筋書きからは完全に独立して、自分が調査し、詳しく分析して辿りついた結論を報道してきた。彼の報道の内容は政府が一般市民に信じて貰いたい筋書きとはまったく違う。これこそがジャーナリストに期待されるもっとも基本的な機能であることは言うまでもない。

ここに「なぜNATOはロシアを最大の敵として見るのか?なぜイスラム国ではないのか?」と題された最近の記事 [1] がある。著者はロシアに活動の本拠を置くアイルランド人のブライアン・マクドナルドだ。この指摘もNATOが一般大衆に信じて貰いたい内容とはまったく異なる、著者独自の意見を述べようとしたものだ。この著者の意見は先日ご紹介したワルシャワでのNATOサミットに関するロバート・パリーの意見とはその切り口がまったく異なるが、NATOについての論評としては重要な要素であると思う。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。


<引用開始> 

この週末ワルシャワで開催されたサミットで発表された声明によると、NATOはロシアをISISよりも大きな脅威であると見なしている。もちろん、この声明はひどく馬鹿げたものであるが、一皮剥いでみると、こういった偽りの言葉の使用は非常に歪んだ感覚を生み出す。

グレブはダブリンに住んでいるロシア人の学生である。最近、我々の共通の友人からの要請があって、彼の大学での論文の作成に支援をして欲しいと私は頼まれた。彼の論文はヨーロッパにおいてはNATOへの加盟に抵抗してきた数少ない国のひとつであるアイルランドの状況やその理由に焦点を当てようとするものだ。アイルランド人の殆んどは自国が周囲の国々とは違うんだということについて大層誇りに思っている。

私自身もアイルランド人の一人であるので、英国や欧州大陸の数多くのエリートたちがNATOを何か素晴らしいものであるかのように受け止めている様子を見ると、私は実に複雑な気持ちにさせられる。結局、我々自身の関心からは、多くの場合、程遠い事柄にしか関心を抱こうとはしない外部勢力(つまり、米国)が君臨することにいったいどれだけの栄光があると言うのだろうか?
西ヨーロッパが受けている脅威としては、現時点においては、イスラム原理主義や不安定化した中東がもたらす副次的な影響が最大級のものであることは明らかだ。しかしながら、米国はこれらの課題に関してはどちらかと言うと無関心のままであって、奇妙なことには、ロシアにその焦点を当てている。

ところで、グレブは先週ワルシャワで開催されたNATOサミットの後で私が何かを見落としていた事に気付かせてくれた。彼には借りができてしまった。土曜日(79日)の午後、NATOはふたつの重要な声明を発表した。最初の声明は「北米・欧州の安全保障に関するワルシャワ宣言」と題され、これはポーランドの首都で合意された中心的な事項を概説したものだ。不思議なことに、かつ、大変興味深いことには、この宣言はISILをたった一回言及しているだけであるにもかかわらず、ロシアについては4回も言及している。


実際の政策:

結局、あの宣言は前菜だった。2時間後にメインコースが登場した。「ワルシャワ・サミット・コミュニケ」と題されて139項目を網羅し、多くの項目は極めて長文である。全体として、加盟国が合意した内容の要約は驚くべき長さとなっている。何と16,000ワードだ。この長さはその内容の面白さでは抜群とも言えるロアルド・ダール著の「チョコレート工場の秘密」の半分以上にも相当する。この文書においては、ISILは12回言及されているが、それとは対照的に、ロシアという言葉は58回も現れる。

ということで、グレブからの電子メールの表題は「なぜNATOはロシアを最大の敵として見るのか?なぜイスラム国ではないのか?となっている。

私の答えは要約するとこうだ。

もちろんのこと、もっとも主要な理由は独自のスタイルを持ったイスラム国(IS、あるいはISISまたはISIL)を相手にして戦うということはまったく金にはならないという点にある。先ず第一に、NATOの目的は金を搾取することにある。NATOが存続することによって、非常に心地のよいライフスタイルを維持し、自家用ジェットで世界中を飛び回り、直接的にあるいはシンクタンク網を通じて高額の報酬を約束するような仕事を作り出す機会をエリートたちに提供する。

ここで、まずは物事をはっきりとさせておきたい。ISILと交戦するには潜水艦や核装備は要らないが、ロシアとの想定上の戦いを遂行するにはそれらの装備が必要となる。ひとたびそのような衝突が起こってしまうと、核弾頭が登場することによって人類の文明は終焉となるといった議論はNATOにとっては関係がない。なぜならば、NATOは、実際には、ロシアとの核戦争を望んではいないからだ。その代わりに彼らが何を狙っているのかと言うと、米国の軍事費を高レベルに維持するためにロシアを非常に好都合なならず者国家として使いたいのである。米国の軍事費は、「対テロ戦争」のさ中にあった2000年から2009年までの間、毎年9パーセントも増加し続けた。

このような非常に潤沢な軍事費の膨張は当初はオサマ・ビン・ラーデンを排除するため、また、暫くしてからはサダム・フセインを国際政治の舞台から抹殺するために正当化された。これらの二人が排除されてからは軍事費を散財することは止めて、寛大過ぎる程の予算は9/11以前のレベルに低減されるものと誰もが思ったことだろう。


金、金、金、・・・: 

問題は余りにも金びたりに依存し過ぎていることだ。軍事費は今や米国の裁量支出の54パーセントを占め、ワシントン政府の歳出17パーセントを占める。これが多くの人たちの収入源となり、広範な産業を維持している。それと同時に、ロシア は今年は軍事費に国家予算の約19パーセントを充当している。この状況は米国の状況と同様に浪費以外の何物でもなく、ばかばかしい限りである。しかしながら、大きな違いが存在する。ロシアはどの国が脅威であるとか、何が脅威であるとかに関してヨーロッパ諸国に対して処方箋を書くようなことはしていない。

もっとも単純な事実を挙げると、全世界における上位8位までの防衛産業における契約企業の内で6社が米国の企業である。これらの企業は、合計すると75万人を直接雇用している。それに加えて、他のさまざまなサービス業や供給産業では何百万人もの人たちがこれらの大手軍需企業からの恩恵に浴している。武器弾薬の出費が幾らかでも減少すると、これらの職場の多くが影響を受け、米国中の都市に失業をもたらすことになる。そして、失業者はすでに10年も20年も前から起こっている産業の空洞化に見舞われている、いわゆる「ブルーカラー」地域に集中する。これらの地域の多くは大統領選の度に勝利政党が民主党と共和党との間を変動する州に位置している。失業を是認するような政治家は誰であっても自分のキャリアーを犠牲にすることになるのが落ちだ。

NATOはヨーロッパの組織であることを念頭に置いて率直に考えて見ようではないか。今、ヨーロッパの安全保障にとっての最大級の危険性は中東に由来している。昨年、百万人を超す難民がドイツへやって来た。これはヨーロッパ大陸の全域に政治的ならびに社会的な不安定をもたらした。この出来事のほんの一部でさえもロシアのせいであるとは言えないのである。しかしながら、新たにやって来たこれらの人たちの多くは、イラクやリビアといった米国が破壊した国々からやって来た。また、最近パリやブリュッセルにおいて引き起こされたテロ行為に関してISISが犯行声明を出しているという事実についても留意しておきたい。言い換えれば、ISISはNATO圏の内部で殺人を行っている。ロシアはそのようなことはしていない。

それにもかかわらず、NATOは引き続きロシアに執着している。それは巨大な軍事予算を維持するためのものであり(その予算額はポーランドの名目GDPよりも大きい)、ワシントン政府は「値の張る」敵国を必要としているからだ。当面、ロシアがぴったりだ。

ISISとの戦いは高価な武器を必要とはしない。それに代わって、地上軍の投入が必要となる。これは国内政治のコストを高めこそすれ、財政的な見返りは非常に僅かだ。それとは対照的に、モスクワと四つに組むことは心地良い毛布に包まっているようなものだ。一般大衆には分かりきっていることではあろうが、実際の戦争にまで進むことはどう見てもあり得ない。それでも、このような状況は軍需企業にとってはとても儲かるのだ。 

ツイッターでブライアン・マクドナルドを追跡しよう: @27khv

免責条項: 上記の見解や意見はあくまでも著者のものであって、RTの見解や意見ではありません。

<引用終了>


米国の政治家や国防省は実際にはロシアとの戦争を望んではいないという見方はしばしば見かける。しかし、たとえそれが真の意図であったにしても、毎日続けられている情報戦争は当事国間の感情を損なうばかりである。火遊びを続けることは非常に危険だ。すべては人の行動であることから、誤解や計算ミスは何時でも、また、何処でも起こり得る。偶発的な軍事的接触が引き金になるとか、システムの誤作動から核ミサイルの応酬へとエスカレートする可能性が未解決のまま残されている。ノルウェーの沖合に潜む米原潜から発射される核ミサイルは15分程でモスクワに到達する。ミサイルが発射が確認されたならば、ロシアはその数分以内に報復攻撃をしなければならない。非常に切羽詰まった瞬間となる。米ロ間での軍事的緊張が続くと、両国は相手が先制攻撃を仕掛けてくるのではないかと疑心暗鬼にかられる。誤解や計算ミスに起因するミサイルの発射を全面的な核戦争には導かない何らかのハードウェア的な安全装置が米ロ間に設置されているわけではない。今我々は危険極まりない世界に住んでいるのである。

1995年のことだ。ノルウェーの沖合から発射されたオーロラ観測用のロケットが米原潜から発射された核ミサイルではないかとしてロシア軍に緊張が走った。この状況は大統領に伝達され、仰撃用の核ミサイルの発射を指令するために用意されているブリーフケースに、史上初めて、電源が入れられた。幸いにも、飛行コースが北へ逸れていることが間もなく判明し、モスクワを狙った核ミサイルではないかとの疑念は急速に晴れたという。

この事例は、疑心暗鬼に襲われたまま毎日を過ごしているミサイル監視施設に勤務する将校や専門家たちがいとも簡単にとんでもない誤解に陥る可能性があることを示している。これは敵の核ミサイルではないとする確信が得られるまでは、依然として疑ってかからなければならないとする軍事的必然性によって支配された精神構造から導かれたごく当たり前の結果であろう。

米ロ両国の政治家やエリートたちにとって人為的な間違いや誤解の可能性を限りなくゼロに近づけることが現在ほど強く求められたことはない。問題は米国の好戦的な政策決定者や政治家、軍人、ならびに、エリートたちがこの問題に関してどの程度の自覚をもっているのかだ。常識的な理解に基づいて率直に言えば、残念なことには、多くを期待することは出来ない。現状では、核戦争の脅威は決してゼロではない。

米国とロシアの政治家の言動や行動には決定的に異なる相違点がひとつある。ロシアは国際間の問題を外交を通じて解決しようとする。一方、米国は軍事力を使おうとする。この違いは我々一般庶民の目の前でさまざまな形で毎日のように繰り返されている。


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米国はEU諸国や湾岸諸国に武器を売りつけることに余念がない。ロシア様様であろう。日本に対しても同じことだ。北朝鮮の核実験やミサイル実験は米国の軍産複合体にとっては非常に望ましい状況であるに違いない。高価な軍需品を韓国や日本へ売りつけるきっかけとなるからだ。
上記のブライアン・マクドナルドの記事が言いたいことを補填する意味から、一例を覗いてみよう。

たとえば、ここに「国務省:11ヶ月間でGCC諸国へ330憶ドルもの武器を売却」と題した今年3月の記事 [2] がある。その記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。

この記事は米国務省が流した情報だ。要するに、国務省としては中東における軍事的な意味がどうであれ、「米国が引き起こした中東諸国の不安定化の成果として、これだけ儲けたよ。しかも序の口だよ」と言って、自慢しているかのように私の目には映る。皆さんはどう感じていらっしゃるだろうか?


<引用開始>

【ドバイおよびワシントン発】 米国務省発表の数値によると、同省は20155月以降アラブ湾岸諸国に対して330憶ドルに相当する武器の売却を促進した。

国務省の政治や軍事問題を担当する部門のスポークスマンであるデイビッド・マクキービーによると、湾岸アラブ諸国協力理事会(GCC)に加盟する6カ国は大陸間弾道弾防衛施設や攻撃用ヘリ、最新式のフリゲート艦、対機甲ミサイル、等を含むさまざまな武器を受け取った。

「昨年の5月に開催されたキャンプ・デービッドのサミットで湾岸諸国のパートナーと交わした約束に沿って、武器の輸出を促進するために、我々はあらゆる努力をしてきた。あれ以降、国務および国防の両省は330憶ドルを超す武器をGCC6カ国に向けて輸出することを承認した」と、マクキービーはディフェンス・ニュース紙に語った。

「これに加えて、米政府ならびに産業界は2015年に4,500発の精密誘導兵器をGCC諸国へ納入した。これには米軍の在庫から直接取り出された1,500発が含まれている。これは我が軍のニーズに基づいて採用された特別な計らいである」と、彼は付け加えた。

米政府としては武器の輸出やその他の安全保障関連の活動を通じてクウェートやカタールとの協調関係をさらに強化して行きたいと、マクキービーは強調した。

これらの湾岸二カ国は40機の40 F/A-18スーパー・ホーネット・ジェット戦闘機や72機のF-15サイレント・イーグル戦闘爆撃機の発注に対して承認待ちであった。これらのふたつの発注はその過程をクリアーするのに2年を要したが、主導的な議員たちにはオバマ政権がこの武器輸出を意図的に遅らせていたのではないかとの疑念を抱かせた。

それに応えて、国務省はこれら2カ国と米国との関係を強調し、カタールは米国にとっては2014年に米国製の武器を調達した諸国の中でも最大級の顧客であり、アパッチ・ヘリコプターやパトリオットミサイル防衛システム、ジャブリン・ミサイル、等を含めて最新式の武器を100憶ドル超も購入したと指摘した。また、同年、カタールは8機のC-17長距離輸送機や4機のC-130輸送機を直接商業契約の下で調達した。 

国務省トップの職員はディフェンス・ニュース紙にこう述べた。つまり、クウェートとカタールに対する戦闘機の輸出は、(同時並行の話し合いがされていた)武器に関する資金援助の合意が米国とイスラエルとの間で保留されていたことから影響を受けて、遅延したというわけではない、と言う。

これらの戦闘機の輸出はイスラエルとの合意が未決定であることから保留されて来たのではないかとの具体的な質問を受けて、武器のコントロールや国際安全保障を担当するローズ・ゴッテンメラー国務次官補はこう言った。「いいえ、関係はありません。連結してはいません。」 

「これらは同時に起こっただけのことです。しかし、お互いに連結しているわけではありません」と、彼女は付け加えた。 

彼女はそのメッセージをどのようにクウェートやカタールに伝えるのかとの質問に、「我々が出来ることは彼らとの話し合いを続けることだけです」と、ゴッテンメラーは言った。

クウェートやカタールの消息通はディフェンス・ニュース紙に「我々はイスラエルが米国との取り決めを保留しているせいだと思う」と言った。ベンジャミン・ネタニヤフ首相が率いるイスラエル政府はアラブ湾岸諸国に対する武器の輸出について懸念を表明しているが、この懸念は特にクウェートに対するF-15戦闘機の輸出に焦点が合わされている。

マクキービーは米国の法律の下ではこの地域に対する輸出では個々の案件はイスラエルの軍事的優位性のレンズを通して輸出が行われ、イスラエルの軍事的優位性を脅かすような輸出案件は承認されないと言った。 

「我々の観点から言うと、米国製の武器ならびに他国との間の我々の強力な相互協力関係は最終的には両方ともイスラエルの軍事的優位性を守ることにつながる」と、彼は言う。

Twitter: @Awadz | @AaronMehta

<引用終了>


これで仮訳は終了した。

米国製の武器に関して超ド級の商談が超お金持ちのアラブ湾岸諸国との間で促進されている。米政府は公式にはテロとの闘いに必要なんだと言っている。それと並んで、イスラエルの軍事的優位性を維持しようとする米国の政策がアラブ湾岸諸国への武器輸出にも微妙に絡んで来るという現実を私は初めて知った。しかも、イスラエルの軍事的優位性を維持することが米国の国内法でも定めらているとのこと。これには驚いた!

米国の議会は地元の産業を維持したい議員、軍産複合体のために働こうとする議員、イスラエル・ロビーに逆らわずに次回の選挙を成功裏に進めようとする議員、等々、さまざまな思惑が渦巻いている場所だ。この記事はその一端を見せているような気がする。


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中近東における米国政府の最重要課題は時の変遷とともに大きく変化する。

中東に関しては、我々一般庶民の関心は「アラブの春」から始まったと言えるのではないだろうか。当時、アラブ諸国は専制的な政権から解放され、民主的な政治制度の恩恵を享受することになるだろうと多くの人たちが期待を抱いた。

しかし、実際にはそうはならなかった。

 「米国の最終的な目標はアフリカや中東の資源を軍事力の影響下に置くことによって、中国やロシアの経済成長を妨害することにある。そうすることにより、ユーラシア大陸全体を支配下に置くことだ。」 著者で歴史家のウィリアムF.エングダールはこう明かす。これは20111130日に「芳ちゃんのブログ」に掲載した「アラブの春と米国の思惑」からの抜粋だ。

中近東では10年足らずの間にさまざまなことが起こった。

最近の数年間だけでさえも、米国にとってはしばらく前までは経済制裁によってイランを国際社会から締め出しておくことが最重要課題であった。その後、核兵器製造計画の疑惑が晴れて、イランに対する経済制裁は解除された。表向きは経済制裁が解除されたかに見えたが、ヨーロッパ諸国の銀行には米財務省の職員が訪問して、イランに対する大型商談は避けるようにと要請していると言われている。これはイランに対する実質的な経済制裁である。現在のイランはロシアと並んでシリアのアサド政権を支援していることから、米国やイスラエル、サウジアラビア、ならびに、他のスンニ派イスラム諸国からは敵視されている。一方、イスラエルは米国との蜜月は終わって、ロシアに接近しつつあるとも言われている。数日前、トルコではエルドアン政権を打倒しようとする軍事クーデターが起こったが、これは未遂に終わった。トルコ政府はこの反政府クーデターを背後から指揮したとされる米国在住のギュレン師の身柄を引き渡すように米政府に要請した。しかし、米国はこの要求に応じようとはしていない。トルコと米国の間では溝が深まっている。このクーデターの可能性を数時間前にトルコに伝えてくれたのはロシアだった。一方、米国はギュレン師の身柄引き渡しには否定的で、しかも、諜報の世界では超大国の米国からはクーデターの可能性に関する情報は何ひとつ事前に提供されることはなかった。その結果、トルコは米国が黒幕であったのではないかとの疑惑を強めている。こうして、トルコは今やロシアへ傾斜し始めているとの報告がある。

まったく予断を許さないが、もしもトルコが米国主導のNATOから離れ、EUへの加盟要求を撤回し、ロシアや中国との連携を深める政策へと大転換をしつつあるとしたら、米国の中東政策は大打撃を受けるだろう。対シリア行動ではトルコはサウジアラビアと並んで急先鋒であった。ウクライナ紛争に関しては、トルコはロシア艦隊の母港であるセバストーポリを擁するクリミアの表玄関である黒海に面しており、その影響力は計り知れない。地中海と黒海を繋ぐダーダネルス海峡はトルコ領内にある。トルコはカスピ海を介してロシアの南西部に近接しており、コーカサス地域にも接している。これらだけを取り上げても、トルコは地政学的に非常に重要な位置を占めていることが分かる。

そのトルコが地殻変動を起こすかも知れないのだ。この地殻変動が起こったら、米国の中近東政策は激震に見舞われるだろう。

今後の展開に注目したいと思う。



参照:

1Why has NATO chosen Russia as its enemy instead of ISIS?  By Bryan MacDonald, Jul/14/2016, http://on.rt.com/7iuk

2State: $33 Billion in GCC Weapon Sales in 11 Months: By Awad Mustafa and Aaron Mehta, Mar/25/2016, www.defensenews.com/.../state-33-billion-gcc-weapon-sales-1...