2016年11月16日水曜日

ワシントン政府の「アジア重視政策」 - ここでも失敗の兆しが・・・



前回の投稿では「グローバルな経済戦争をし、それに失敗するワシントン政府」と題して、ジェームズ・ぺトラスの記事を掲載した。

それに続いて、本日はその後編とも言えるような記事 [1] をご紹介したいと思う。内容はワシントン政府の「アジア重視政策」についてだ。われわれ日本人にとっては、これはもっとも身近なテーマのひとつである。

つい先日、米大統領選の投票結果が出た。ヒラリー・クリントンが敗退し、ドナルド・トランプが選出された。トランプ次期米大統領は選挙運動中に米国の対外政策を縮小して、国内問題を解決することを優先すると述べている。対外政策が具体的にどれだけ変更になるのかは当面未知数ではあるが、少なくともその方向性は提示された。オバマ政権が推進して来た「アジア重視政策」も何らかの影響を受けることになろう。

さっそく、ジェームズ・ぺトラスの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有してみよう。

米国内の識者から見た「アジア重視政策」の問題点を学ぶいい機会だと思う。たとえ小さなことではあっても、日本のメディアが報道しないような何らかの情報や見解をこの記事の中に見い出していただけたら幸いだ。


<引用開始>

2012年、オバマ大統領とクリントン国務長官およびアシュトン・カーター国防長官は全世界に対する優位性を目指して新たな方針を掲げた。優先順位を中東からアジアへ移行するために対外政策を見直すという。これは 「アジア重視政策」と称され、米国は経済、軍事および外交等の資源を圧倒的に優位な地位を確立するために集中し、中国がこの地域でその影響力を拡大することを阻止しようとするものである。

この「アジア重視政策」によって中東における既存の資源を実際に中東から移動することはなく、この政策はアジアへの軍事的関与を強化し、ロシアや中国との対立を引き起こすことになった。

「アジア重視政策」はロシアや中国に対決し、両国を封じ込めるために地域的な軍事同盟を拡張し、深化させようとするものだ。その最終的な目標は両国の経済を崩壊させ、社会を不安定化し、現政権を転覆させることにある。

より強力な帝国を求めて行われる米国の圧倒的な猛攻は代理国家や追従国家が米国の戦略的目標をうまく達成してくれることに大きく依存する。 

いわゆる「アジア重視政策」は二本の柱から成っている。そのひとつは経済・通商同盟であり、もうひとつはさまざまな形での軍事条約である。米国の優位性を世界的な規模で維持する戦略のすべてはそれぞれの地域の同盟国や代理国家に対して米国がそれらの国々のコントロールを確かなものとし、それを強化することにかかっている。しかしながら、オバマ政権はワシントンの追従国家を維持することには失敗した。これは米国の凋落を加速させ、今まで以上にやけくそな政治的策略を促すことになろう。 


戦略的な軍事行動:

疑いもなく、アジア・太平洋地域に関してオバマ政権が決める軍事的決断や行動のすべてはただひとつの目的に収斂する。それは中国の防衛能力を低下させ、中国経済を弱体化させ、中国をワシントン政府の支配下に治めることにある。

軍事的優位性を確保しようとして、ワシントン政府は韓国に最新式のミサイル防衛システムを設置し、空・海軍の戦力を増強し、中国の沿岸地域や通商ルートに沿って挑発行為を拡大している。ワシントン政府はオーストラリア、日本、フィリピンにおいて軍事基地の拡張に乗り出した。 

これはワシントン政府がマニラ政府の「ノノイ」・アキノ前大統領に如何にして圧力をかけ、中国との南沙諸島の係争をオランダにあるどちらかと言えば怪しげな裁判所に告訴させたのかを物語るものでもある。言うまでもなく、このヨーロッパの裁判所が下した裁定はマニラ政府に対して友好的な内容であり、米国には南シナ海において中国に対して予定通りの攻勢をかけ続けるために必要な「法的な隠れ蓑」を提供するものである。南沙諸島と西沙諸島はその殆んどがサンゴ礁の島や砂州から成っており、世界でも船舶の通航がもっとも多い海域に位置している。これは中国(北京政府と台北政府の両者)が「国際仲裁裁判所」の裁定を認めようとはしなかったことを良く説明している。


経済における戦略的介入、TPP

米国が策案し、推進する環太平洋戦略的経済連携協定(TTP)は太平洋岸の12カ国を網羅し、その地域における米国の支配を盤石にして、何としてでも中国を封じ込めようとする貿易と投資に関する協定である。TPPは、国内の農産物生産者のための規則や労働者のための規則、ならびに、消費者のための環境に関する規制を弱体化することによって、米国の多国籍企業の海外での利益を最大化しようとする策の目玉となるものであった。不人気この上ない国内規則は米国の労働者や消費者を疎遠にしてきた。その結果、今回の米大統領選においては選挙人団はふたりの大統領候補にTPP を支援するとしていた前言を翻させた程である。ファイナンシャル・タイムズは「大衆民主主義の危険性」と題して、これを非難した。帝国の建設を担うワシントン政府の連中はTPP をアジア・太平洋地域の通商システムに関しては米国のルールを示す場であり、各参加国をそのルール通りに従わせるための手段であると見なしていた。米国の大企業の立場から見ると、TPP は中国を除外することによってアジアにおける優位性を維持することが可能となるひとつの選択肢なのである。


ワシントン政府が唱える「アジアの世紀」に翳り: 

米国は朝鮮とインドシナでふたつの大きな戦争を経験し、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、チモール、ミヤンマー、パキスタンおよびアフガニスタンにおいては反政府運動に対する支援や介入を繰り返し、アジア大陸を荒廃させ、70年以上にわたってアジアを支配してきた。その戦略的な目標は自国の軍事的ならびに政治的な支配を拡大し、経済や資源を開拓し、中国と北朝鮮を封じ込めることにあった。

しかしながら、オバマ・クリントン・ケリーの政権の下でアジアにおけるこの帝国主義的な仕組みは今や崩壊しようとしている。

中国を除外したワシントン政府のTPPは頓挫し、中国が後見役を果たし、アセアンの10ヶ国を含め、さらには、オーストラリア、インド、韓国、および、ニュージーランドを含めて [訳注: 日本も含む]、世界中で50カ国以上もの国々がメンバーとなる「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)がそれに取って代わる。もちろん、中国はこの連携のための資金の殆んどを提供し、驚くには値しないものの、ワシントン政府はこの連携には誘われてはいない。

RCEP は有利な条件で締結されることから、米国の現在の同盟国、ならびに、かっての同盟国や植民地はほとんどすべてがこの経済連携に署名をし、貿易上の忠誠義務を中国へ移すことになった。これは大国の構成に変化をもたらすものだ。

すでに、カンボジア、ラオス、タイおよびインドネシアは中国との経済的結びつきを公式なものとし、それを強化しつつある。TPP に関してはさまざまな議論が行われたが、結局、TPPは中国主導の新貿易協定(RCEP)への乗り換えを加速しただけであった。米国は取り残され、軍事的に中国を封じ込めるには、「忠誠な4カ国」、つまり、経済が停滞している日本、オーストラリア、韓国、および、すっかり貧困化した旧植民地のフィリピンに頼るだけとなった。


「大衆民主主義」の危険性: ドウテルテ大統領は中国へ傾斜、東南アジアにおける米国の優位性は終焉する?

1世紀以上にわたって(1896年のフィルピンへの侵攻以降)、特に、第二次世界大戦の終了以降、アジアにおいては米国はその優位性を強引に行使し、ワシントン政府は東南アジア諸国をコントロール下に置くために戦略的に重要なフィリピン列島を跳躍台として活用した。フィリピンをコントロール下に置くことは米国の帝国主義にとっては基本的に非常に重要である。つまり、ワシントンの戦略的優位性は空・海域へのアクセス、情報通信、フィリピンに位置する陸上基地とその活用、ならびに、従順なフィリピンの指導者層がどう振る舞うか次第なのである。

全世界を相手にする中国の海上航路を囲い込み、そのコントロールを強化するための米国側の戦略の中核はフィリピンに大規模な米軍施設を増強することだ。

米国自称の「アジア重視政策」には南シナ海を支配するために配備される5カ所の基地を設置・増強することが含まれる。ペンタゴンは、2014年にアキノ前フィリピン大統領によって署名された「防衛強化協力協定」によって、戦略的に重要な4カ所の空軍基地と1カ所の軍事基地に対するアクセスを強化した。しかし、この協定は20164月までフィリピン裁判所によって足止めを喰らった。これらには次の施設が含まれる: 

(1) パラワン島にあるアントニオ・バティスタ空軍基地。南シナ海の係争中の南沙諸島に近い。
(2) フィリピンの首都マニラの北西40マイルに位置するバーサ空軍基地。この場所からは南シナ海を見下ろすことができる。
(3) ミンダナオ島のカガヤン・デ・オロ港の一部でもあるルンビア空軍基地。広大な米軍施設を建設中。
(4) フィリピン中部のセブ島沖のマクタン島に位置するマクタンベニト・エブエン空軍基地。
(5) ルソン島のヌエヴァ・エシハに位置するマグサイサイ要塞。ここはフィリピン陸軍の中央訓練・指揮センターであって、フィリピン陸軍の最大級の施設である。ここで米軍はフィリピン陸軍の教育・訓練を行う。

ペンタゴンの計画立案者はフィリピン西部の新しい基地から南シナ海における中国の海上航路や軍事基地を狙うとして計画を立てていた。これが実現すると、この地域一帯の安定が脅される。特に、全世界を相手にする中国の通商航路が脅される。

ワシントン政府は、米国の代理人を務めていたべニグノ・アキノ3世前フィリピン大統領(20102016)が公布した大統領令に基づいて南シナ海における介入を強化した。しかしながら、この大統領令は議会の批准を受けてはおらず、フィリピン最高裁はその正当性を疑った。

ワシントン政府の「アジア重視政策」は膨大な軍事力の増強に焦点が置かれ、フィリピンへのアクセスに集中された。このアクセスは今や危険に晒されている。20166月にアキノ大統領の後継者として新たに選出されたロドリゴ・ドウテルテ大統領は独立した対外政策を模索しており、貧困化したフィリピンを米国の軍事的植民地の立場から中国やこの地域の他の経済大国との間に大規模で、長期的な通商・経済開発を促進するための連携に向けて舵を切ろうとしている。ドウテルテ大統領は、中国を封じ込め、中国を挑発するためにフィリピンを活用しようとしている米国に対して大っぴらに異議を唱えている。

フィリピン政府の「中国重視政策」は興味深い美辞麗句から始まって、ドウテルテ大統領が貿易と投資に関して大きな会合を開催し、ビジネス界の主要な指導者から成る代表団を201610月末に北京へ送り込み、中国側の代表者と引き合わせるまで、急速に展開して行った。 大統領府での最初の3ヶ月間に、ドウテルテ大統領は麻薬密輸組織のボスや販売人に対して進めている国内キャンペーンに干渉をしたとしてワシントン政府を非難した。麻薬取り締まりキャンペーンに関してオバマが言及した、いわゆる「人権問題に関する懸念」はフィリピンの反論を受けた。米国は悪名高い麻薬密売人・政治家・財閥グループに対して便宜を図り、軍事基地拡張プログラムを実現したとして非難された。ドウテルテ大統領が推進する麻薬戦争は米国の麻薬組織・エリート間の同盟だけではなく、さらにその先にまで展開して行った。彼はふたつの戦略的な変化を提唱したのである。つまり、(1)南シナ海において中国を挑発するべく計画されている紛争海域での海洋パトロールを中止する、とドウテルテ大統領は約束し、(2)米国とフィリピンの合同軍事演習、特に、ミンダナオ島での演習を中止する、と彼は言った。なぜならば、これらの行動や演習は中国に脅威を与え、フィリピンの安全保障を台無しにしかねないからである。

独立した、国家主義的な課題を追求しながら、ドウテルテ大統領はフィリピンとしての中国重視政策を強化するために、急速で、かつ、断固とした動きをした。これは、東南アジアの文脈においては、貿易や投資に関するフィリピンの巨大な隣人との関係を現実に「正常化」するものである。 

201610月の第3週に、ドウテルテ大統領と彼の政治チーム、ならびに、250人ものビジネス界の指導者から成る代表団は中国側の指導者らと会って、何十億ドルにもなる投資プロジェクトや貿易協定について話し合い、より緊密な外交関係を築くことを協議した。この話し合いの結果、貿易やインフラ・プロジェクトは130憶ドル以上に上り、この総額はさらに増加する気配だ。フィリピンの中国重視政策が進行するにつれて、その対価として、東南アジアの政治と軍事情勢は深刻な変化に晒されることだろう。フィリピンに対して全面的なコントロールを適用しない限り、ワシントン政府の中国を封じ込めるという戦略は崩壊する。

アキノ前大統領によって議会の批准もなしに大統領令の形で発動され、議論を呼んでいる米軍基地に関する協定(米比防衛強化協力協定)は、フィリピン最高裁が最近下した裁定に基づいて、新大統領の大統領令によって反故となるかも知れない。ペンタゴンはフィリピンの戦略的な軍事基地が「完璧な」締め付け機能を果たしてくれるものと見なしてはいたが、この裁定はペンタゴンの全体計画に大きな穴を開けることになるだろう。

ドウテルテ政府はフィリピン社会のために経済の近代化や社会の再構築に如何に専念しているかを繰り返して述べて来た。その課題はさまざまな変革、たとえば、何十億ドルにも達するインフラへの投資、中国からの融資や技術協力、等を通じてのみ推進することが可能だ。それに引き換え、米国の軍事的植民地のままでいることは余りにも後ろ向きであり、アジアの経済パートナーを脅かすだけではなく、周辺諸国はフィリピンを沈滞と腐敗に苛まれたもうひとつの世代であるとして非難することだろう。東南アジアでは独特ではあるが、フィリピンは長い間未開発のままで放置され、有資格労働力の半数は国外で職場を探さなければならず、国内社会は新興財閥と結託した麻薬や人身売買のギャングたちの犠牲となっていた。


結論: 

アジア諸国を「反中国の聖戦」へ囲い込むという試みの中に大事そうに納められていたワシントン政府の「アジア重視政策」はオバマ・クリントン・ケリーのチームが考えていたようには進展しない。近い将来ホワイトハウスから去って行く政権にとって、ならびに、新たに登場して来る次期政権にとっては本政策は大失敗であることが判明しよう。民主党の大統領候補であるヒラリー・クリントンは彼女が国務長官を務めていた頃にはお気に入りのプロジェクトのひとつであったTPP を諦めざるを得なくなった。東南アジアに関する1980年代のタイムワープ的な将来像に描かれていたペンタゴンの軍事基地戦略は今や崩壊の瀬戸際にある。以前は米国の植民地であり、属国でもあったフィリピンはついに米国の軍事的独裁に対する全面的な従属から離脱し、より高度な独立を求め、中国や他のアジア諸国とのより強固な結びつきに向かおうとしている。もはや、東南アジアや南シナ海はペンタゴンの支配行動によって左右される「大いなるチェス盤」の一部ではなくなったのだ。

フィリピンにおいては、ワシントン政府は、切羽詰まって、マニラを拠点とした財閥や麻薬のボスならびに将軍らによって支援された軍事クーデターに頼ろうと決心するかも知れない。「政権の転覆」という向こう見ずな動きをしようとすると、そこには大きな問題が控えている。それはロドリゴ・ドウテルテはフィリピンの有権者の間では大人気であるという事実だ。それこそがワシントンのエリートやマニラの財閥が彼を嫌っている理由だ。マニラ市長のジョセフ・エストラダは、彼自身、ワシントン政府による政権転覆劇の犠牲者でもあるのだが、彼は米国が後押しをするクーデターが起こったら、それが如何なる形であっても、百万人規模の反対デモに見舞われ、国家主義的な中産階級や中国指向の強いビジネス界の猛反対に直面するだろう、と言った。2002年にベネズエラでウゴ・シャベスに対して引き起こされた悲惨なクーデター事件のように、クーデターの未遂はドウテルテの政策を彼自身のかたくなな国家主義的目標をさらに急進的なものにし、米国をさらに孤立化させるかも知れない。 

著者のプロフィール: ジェームズ・ぺトラスはニューヨーク州立大学ビンガムトン校の社会学名誉教授。Clarity Pressから刊行された最近の著書: ISBN: 978-0-9972870-5-9, $24.95 / 252 / 2016 http://www.claritypress.com/PetrasVIII.html

<引用終了>


トランプ次期大統領は選挙運動中にさまざまな約束をした。しかしながら、選挙運動中に発せられた個々の約束が100パーセント守られるとは誰も思ってはいないだろう。

オバマ政権はTPPに関する議会の承認を諦める公算が高くなってきた。オバマ政権に残された時間はもうほとんどないのだ。トランプ次期大統領は選挙運動中の8月にはTPPを破棄すると言っていた。対抗馬のヒラリー・クリントンもだ。

次期政権の下では米国はTPPを批准することはなさそうだ。大歓迎だ!TPPが発動しないことによって、日本は米国の多国籍企業によってこれ以上富の略奪を受けないでも済むことになるからだ。これは日本の次世代のためにはいいことだ。

TPPを発動させるには各国の議会が批准しなければならない。米国では、今年の8月中旬には、大統領選候補のヒラリー・クリントンもドナルド・トランプもTPP条約には反対、あるいは、少なくとも懐疑的であることを表明していた。それにもかかわらず、日本では国会での審議が継続され、衆院TPP特別委員会ではTPP承認案が可決された(114日)。常識論的に言えば、あの8月の時点で国会でのTPPに関する審議は中止とするべきではなかったのか?


米国政府の今後4年間の対外政策は、日本の社会から見る限りでは、何と言ってもロシアとの和解を実現することに専念して欲しいと私は思う。

ロシアとの和解が実現するということは、シリア紛争やウクライナ紛争、ならびに、新冷戦の構造が何らかの形で解決の方向へ軸足を移すことを意味する。総じて、米軍の介入によって引き起こされている世界中の不安定さが安定化に向かって動き出す。最終的には、米ロ間の核大国間での熱核戦争の可能性が低下することになろう。

その延長線上においては、日中両国が相手国を仮想敵国とみなす必要も消えて行くだろう。つまり、日本が米国のために中国との代理戦争を行う必要はなくなるのだ。

こうして、巨額な軍事費のほんの小さな部分であってもそれを節減することが可能であるとすれば、一例を挙げれば、そのお金を使って幼稚園や託児所を拡充し、子供を抱えた女性が安心して仕事に専念できるように社会構造を改善することが可能となる。

これが実現すれば、個々の家庭においても可処分所得が増加し、多くの有資格の女性労働力があらたに経済活動に加わることになる。女性が持つ能力は日本の経済や社会にとっては強力な資産のひとつである。フランスでの事例が示しているように、女性が安心して職場で働くことができるようになると、日本社会の停滞のひとつの要因である少子化にも歯止めがかかるのではないか。

逆に、日本が軍事大国になることに専念すれば、過去の歴史を検証するまでもなく、家庭経済は疲弊し、社会の活力を維持することができずに、現行の日本経済はさらに停滞し、ジリ貧に陥るのではないだろうか。

フィリピンは親米政策、つまり、米国の軍事的植民地でいることには別れを告げて、中国および近隣のアジア諸国への傾斜を深めている。ついに、フィリピンは目を覚ましたのだ。フィリピンの国民にとってはこれほどいいことはない。

もちろん、日本には日本独自の考えがあって然るべきである。しかし、日本がただ単に対米依存政策を続けることは決して日本のためにはならないと思う。

日本は日本独自の国益を追求する時が来たようである。対米従属によって利益を得る一部の産業や大企業は別として、一般大衆が自分たちの利益を追求する時が来たのだと言えよう。そうした民意を代表する政治家の出現が待たれる。



参照:

1Washington’s “Pivot to Asia”: A Debacle Unfolding: By James Petras, Information Clearing House, Oct/25/2016








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