2017年12月13日水曜日

米国の軍産複合体依存症



米国の予算に占める軍事費は非常に大きい。ただ大きいというだけではなく、多くの識者は余りにも大き過ぎると批判する。

世界各国の軍事費を多い順に並べると、米国の軍事支出はダントツに大きい。ストックホルム平和研究所が報じた報告書によると、2016年の数値で見ると、米国の軍事費(6,112憶ドル)は2位の中国(2,152憶ドル)や3位のロシア(692憶ドル)から始まって、8位の日本(461憶ドル)を経て、9位のドイツ(411億ドル)までの8ヵ国の軍事費の総計(5,952憶ドル)よりも大きいのだ。 

918日のニューヨークタイムズの報道によると、米議会上院の外交委員会は2018年度予算で7,000憶ドルの軍事支出を認めた。海外への派兵を強化し、戦闘機や艦艇の購入を増やす政策である。 

米国の軍産複合体依存症はかなりの重症である。徹底したダイエットが必要だ!しかしながら、極端な不摂生が続いている。

米国の経済がいかに多くの部分を軍事支出に依存しているかに関しては、ここに格好の記事 [1] がある。 

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと情報を共有してみたい。


<引用開始>



世論調査によると、米市民は遥かに遠い場所で行われている戦争に飽きあきしている。しかしながら、多くの市民は依然としてトランプ大統領が国防省やその下請け企業に対して予算をたっぷりと割り当ててくれたことに声援を送っているのである。JP Sottleはこれはアイゼンハワー元大統領が懸念を示した矛盾そのままであると書いている。  

著者: JP Sottile

ドワイト・D・アイゼンハワー大統領は、1961117日離任の演説で、軍産複合体がもたらす拡大するばかりの将来の影響力について警鐘を鳴らした。しかしながら、 米国の軍産複合体はその存在を大きくし続けてきた。程なく、ベトナム戦争が始まり、血なま臭い戦争の結果、軍産複合体(MIC)のイメージは利益だけを追求し、対外政策の管理権を奪い、顔を持たない戦争屋の集団として位置付けられたのである。それは戦争の無意味さによって支えられ、さらには、Brown & Rootのような(政府要人との)コネを持った契約企業を巡る利益の物語によっても支えられてもいる。

50年間に四つの大きな戦争、ならびに、10何回もの武力介入を行ったことを引用しながら、われわれはしばしば軍産複合体について話をする。あたかも、無力な米国人の手には届かない位置に浮遊し、(スター・ウーズに登場する)旗で覆われた、非道なデス・スターを引き合いに出しながら喋っているようなものだ。あの偉大なスメドリー・ダーリントン・バトラー将軍は戦争は金儲けのための「気楽な商売であると言ったが、米国人はこの捉え方は一般的には好まない。

軍産複合体が「平均的な米国人」を生み出しているとする無力さに満ちた受け止め方は米議会から出てくる金の行方を追ってみれば直ぐに合点が行く。「政府監督プロジェクト」(POGO[訳注: Project On Government Oversight (POGO)はワシントンDCに本拠を置く無党派の非営利組織であって、政府における資金の無駄遣い、汚職、悪用、および、利害関係を監視する] 2017年と2018年度の両年について「国防関連支出」のすべてを表にまとめたが、各年度の総額は1.1兆ドル近くとなった。この「国防関連」は重要だ。なぜかと言うと、各年度の国防権限法、つまり、国防予算を眺めているだけでは、数カ所の省庁にまたがってさまざまな形で配分される国防関連支出の全貌を十分に説明することはできないからである。

この現象はペンタゴンの監視者として著名なウィリアム・ハータングが何年にもわたって追跡してきたものである。彼はこの現象に最近メスを入れ、国防支出を10個のカテゴリーに分けた。驚くことには、国防省の予算はそれらのカテゴリーの中のひとつに過ぎない。他のカテゴリーには戦争、国内の治安、軍事援助、諜報、核、新兵の募集、退役軍人、利息の支払い、ならびに、その他の国防関連支出が含まれる。最後の項目は「ペンタゴン以外の数多くの省庁に流れて行く国防関連の資金」である。 

恐らく、もっとも大きな驚きは、ハータングがトム・ディスパッチへの寄稿で書いているように、インフレーション調整済の国防予算の「ベース」は「1980年代にロナルド・リーガン大統領がもたらした巨大な予算額よりもさらに大きく今や、第二次世界大戦後のピークにさえも迫ろうとしていることだ。」 そして、これは単にベース予算に過ぎず、全体の中で「国防のみ」のカテゴリーに充当され、約6,000憶ドルとなる。POGOのように、ハータングは年間の軍事支出総額を約1.1兆ドルとしている。


軍産複合体という「溜まり場の生き物たち」: 

この大袈裟な饗宴から自分の分け前を確保しようとして、国防産業のロビイストたちはそれぞれが餌場で他の皆が羨むような素晴らしい位置を勝ち取るために米議会を金周りのいいヌーのような衝動的な行動に走らせる。OpenSecrets.orgによれば、今年の7,000憶ドルの「国防のみ」の予算をでっちあげるために208社から成る防衛関連企業の一団は、本年、728人の「報告済みの」ロビイスト(明らかに、さらに何人かは未報告であろう)を配置し、彼らに93,937,493ドルを支払った。昨年は、政府予算から自分たちのための利益を産み出すために、この団体は128,845,198ドル を費やしている。 

そして、毎年決まって手にすることができるこの信頼性の高い収穫こそが、国防関連企業を議会やKストリートおよびペンタゴンと結びつけてくれる回転ドアと並んで、軍産複合体の背後に居る戦争屋の主によって戦争をキャッシュ・マシーンに変えてしまったとして数多くの批評家が苦言を呈している理由にもなっているのだ。 

しかし、このキャッシュ・マシーンはベルトウェイの内側にある訳ではない。国中各地にATM用の支店網がある。国防産業は、ロビー活動における寛容さによって議会を気前よく扱っているように、予算を全国にばら撒くためにペンタゴンとぐるになって動いている。この「富をばら撒く」戦略はわれわれの関心を集め、あるいは、われわれに軽蔑の念をもたらし、「ベルトウェイの内側で」行われるロビー活動に匹敵するような重要性を持っている。 

仕事日ならば何時でもいいから、米国防省の契約発表に関するウェブサイトを覗いて、「700万ドル以上の契約」を一目見て欲しい。この情報は毎日午後の5時に公表される。最近これらの発注を調べてみたが、レイセオンやロッキード・マーチン、ジェネラル・ダイナミックスといった常連が目に付いた。軍産複合体は確固たる代表権を確保しているのである。しかしながら、依然として何百万ドルもの契約が一般市民が聞いたこともないような企業に発注されてもいる。その一例として、10月末のある日の発注データを下記に示してみよう:

·     フロリダ州オルランドのLongbow LLCはレーダー用電子ユニットを183,474,414ドルにて受注した。その生産はフロリダ州のオルランドで行われる。
·     アラバマ州ハンツビルのGradkell Systems Inc.はシステムの運用ならびに保守点検の作業を75,000,000ドルにて受注した。この作業はバージニア州のベルボアで行われる。
·     テキサス州サンアントニオのDawson Federal Inc.、ミシガン州リボニアのA&H-Ambica JV LLC、および、ミズーリ州キャンサスシティーのFrontier Services Inc.ノースダコタ州およびミネソタ州の入口に位置する物流施設の修復と改造を45,000,000ドルにて受注した。
·     ネバダ州ラスヴェガスのTRAX International Corp.はテスト支援サービスの契約変更を9,203,652ドルにて受注した。この支援サービスはアリゾナ州のユマ、および、アラスカ州のフォートグリーリーで実施される。
·     ニュージャージー州パターソンのRailroad Construction Co.は基幹的操作の支援サービスの変更を9,344,963ドルにて受注した。この作業はニュージャージー州のコルツネックで実施される。
·     イリノイ州ベルビルのBelleville Shoe Co.は酷暑用戦闘ブーツを63,973,889ドルにて受注した。生産はイリノイ州で行われる。
·     アラバマ州セルマのAmerican Apparel Inc.は戦闘用ユニフォームを48,411,186にて受注した。この生産はアラバマ州で行われる。
·     バージニア州アレクサンドリアのNational Industries for the Blind(全米視覚障碍者産業)は進化型戦闘ヘルメットの契約変更を12,884,595ドルにて受注した。生産はバージニア州、ペンシルバニア州およびノースカロライナ州で行われる。


気前の良さを共有: 

明らかに、国防省はどでかい組織であって、50州にまたがる地域企業に契約を配分することについては十分に巧妙な作業を行っている。まさに、それはサイズの成せる技であり、米国人の生活に及ぼす軍部の「浸透ぶり」は不吉なものを予感させる程である。しかし、それはまた戦略でもあるのだ。それが戦術であることはレイセオン社が最近受注した事例においても容易に見受けられる。 

20171031日、彼らはシステム機器やコンピュータ関連機器ならびにソフトウェアの研究開発やそのテストに関する契約更改を29,455,672ドルにて受注した。この更改契約は「ロードアイランド州のポーツマス(46パーセント)、マサチューセッツ州のテークスバリー(36パーセント)、マサチューセッツ州のマルボロ(6パーセント)、カリフォルニア州のポートニューヒーメ(5パーセント)、カリフォルニア州のサンディエゴ(4パーセント)、および、メーン州のバース(3パーセント)に分散し、実施される。」  

率直に言って、これは冷戦中に始まったものであって、見事な動きである。下院の選挙区が受け取る国防予算が多くなればなる程、その国防予算が議会で支持を受ける票数は多くなる公算が高まるのである。しばらくすると、この状況は予算化のための基本的な筋書きとなった。

ベテランのジャーナリストであるウィリアム・グライダーはローリング・ストーン誌の1984816日号にこう書いている。 「すべての政治システムは、リベラル派や保守派を含めて、国防予算の人質と化してしまった。もっとも良心的な者でさえもそれにとらわれてしまう。これこそがなぜペンタゴンの予算が非合理に膨れ上がってしまったのか、なぜ米国は平和時においてさえも戦争のために動員を行うのかに関する根本的な理由なのである。」  

グライダーが言及している平和時の動員は、ウィリアム・ハータングが指摘しているように、リーガン政権時代の軍事費の増大化のことを指しており、現在、米国の「対テロ戦争」はそれを上回る勢いだ。当時、今のように、米国は国内が平和であって、世界中で干渉し、その結果莫大な額の請求書に見舞われた。それ以降現在に至るまで、軍事支出を止めることはできないでいる。

ある匿名の「軍備管理のロビイスト」がグライダーに語ったように、「それは日常よくあることだ。自分の選挙区の利益に反するような投票を議員に依頼するなんてとても考えられない。私が下院議員であるならば、多分、私も同じ様に投票するに違いない。」  

基本的に、下院議員たちは、自分の選挙区民が国防予算をたっぷりと確保し、誰にも干渉されない既得権を守ることによって、国防産業に関しては二番目のロビイストとして行動する。しかし、彼らだけという訳ではない。何故ならば、ペンタゴンが蒔いた種を各州が刈り取り、9/11事件後の膨大な散財を受けて、彼らは自分たちの経済に対する国防予算の影響度を量的に把握し始めたのである。適切に把握することが自分たちの具体的な状況のために栓を開けたままにして置くことに役立つのである。 

全米州議員協議会(NCSL)のウェブサイトを覗いてみて貰いたい。NCSLは国防省(DoD)は「全米50州、ならびに、コロンビア特別区、グアム、および、プエルトリコで420カ所以上もの軍事施設を運営している」と記して、褒めちぎっている。加えるに、NCSL国防省の分析当然のことながら感心して2015年度の人件費や下請け契約に使われる4,080憶ドル」は「米国の国内総生産の約2.3パーセントに」相当するとしている。 

そして、彼らは国防予算が州経済に与える影響の分析においては手形交換所の役割を担うことになった。下記にNSCLのウェブサイトから収録した最近のデータを一例として示す:

·     たとえば、2015年、ノースカロライナおける軍の施設は578,000 人に職場を提供し、340億ドルの人件費を支え、660憶ドルの州内総生産を生み出した。
·     2014コロラド州議員は30万ドルの州予算を割り当て、州内7カ所にある主要な軍の施設について軍の活動が産み出す総括的な価値を調査した。州の軍事・退役軍人省は2015年の5月に調査結果を公表し、その総合経済効果は270憶ドルになると報告した。
·     ケンタッキー州も軍の活動を評価することにし、20166月、5番目の報告書を発表した。軍はケンタッキー州内で20142015年に約120億ドルを費やした。38,700人の現役勤務と民間従業員を支え、軍の雇用は二番目に大きい州の従業員を21,000人分も上回る。
·     ミシガン州では、たとえば、2014年度の国防支出は105,000人の職場を提供し、90億ドルを超す州内総生産を追加し、100億ドル近い個人収入を支えた。「ミシガン国防センター」がスポンサーとなった2016年の調査によると、「将来の基地の再編と閉鎖」(BRAC)にしたがって陸軍と州空軍の施設を維持することを州全体の戦略としている。 


選挙への影響:  

しかし、それがすべてという訳ではない。上記で引用した国防省の調査によると、国防省からお金が流れ込んでいく最大の受益者は次の通りである。(大きい順に並べると)バージニア州、カリフォルニア州、テキサス州、メリーランド州、フロリダ州となる。軍事基地を擁する18州の内では選挙で重要な州としてはカリフォルニア、フロリダ、テキサスがトップを占めている。 

これは実際的な難題だ。これは選挙への影響力を持っている。なぜかと言うと、国防費の恩恵に浴する選挙民はただ単に現役の兵士の場合は総人口の1パーセントであり、生涯のどこかの時点で現役を務めたことがある退役軍人の場合は7パーセントを占めるというだけではなく、何百万人もの市民らも直接あるいは間接的に「国防関連」の気前の良さによって生計を立てているからだ。この気前の良さはペンタゴンを素早く通過する。 

ドナルド・トランプが2016年の大統領選を首尾よく活用したことは小さいながらも、汚らしい秘密である。彼はどうにかこうにか外国での戦争で浪費することを非難し、ブッシュ政権のネオコン的な軍事介入やヒラリー・クリントンのネオリベラル的な介入を非難し得たのである。それと同時に、「何年にもわたる記録的な浪費」を行ってきたにもかかわらず、「枯渇した」軍については絶えず愚痴をこぼした。彼は国防予算を大幅に増額し、軍艦の建造を行い、核兵器備蓄を大量に増やすことを約束した。

多くの米国人が認めているように、彼は約束を守った。Morning Consult/Politicoの世論調査によると、選挙民は新たな戦争の到来に不安を覚えているにもかかわらず、軍事費の増額は選挙民に向けて提示されたさまざまな支出の中ではもっとも人気が高い。NBCニュースとサーベイ・モンキーによる世論調査によると、76パーセントの米国人は米国が「次の4年間に大きな戦争を始める」ことを「懸念」しており、米国が国際関係において「もっと活発になる」ことを望む市民は25パーセントだけである。

もっと端的に言えば、トランプが8月に「コース内にとどまる」とのスピーチを行った後、アフガニスタンへの兵力の増派については20パーセントの米国人が賛成するだけであったが、ギャロップの30年間の追跡世論調査によると、米国の国防費は「少なすぎる」と感じる市民は9/11 直後での高まり(41パーセント)以降で最高のレベルに達した(37パーセント)。それ以前のピークはロナルド・リーガンが膨大な増額を約束して大統領に選出された時の1981年の51パーセントであった。

もしも米国人が一般的には戦争や海外での介入を支持したくないとするならば、彼らはどうして軍事予算の増強を反射的に支持するのであろうか?

率直に言って、トランプの「職場、職場、職場」という持説の先までは見ないでおこう。彼が外国へ武器システムを売りつける時、または、彼が海軍の造船所を訪れる時、あるいは、選挙後の集会に出かけ、「今まで以上に軍備を増強する」と公表する時、彼はそう言う。ざっくばらんに言えば、彼は市民が聞きたいと思っていることを喋っているのだ。選挙民は戦争には疲れ切っているかも知れないが、彼らはリーガン政権時代にグライダーが書いた分散のシステムには疲れ切っている訳ではない。

最終的には、これは軍産複合体は単に米国市民の意思に逆らって政策を操ろうとする影の陰謀団ではないことを意味する。ディープステーツのエリート・グループ専用の「金になる商売」でもない。代わりに、軍とそれが支える膨大な経済ネットワークはより以上に複雑な課題を示しており、アイゼンハワーが予見したように、それは何百万人もの米国人を巻き込んでいるが、本当に軍産複合体を断念しようとする者はいない。 


著者のプロフィール: JP Sottileは自由契約のジャーナリストであり、ラジオ番組の共同ホスト役を務め、ドキュメンタリー・フィルムを作り、以前ワシントンDCではニュース・プロデューサーを務めた。 彼はNewsvandal.comにてブログを公開している。あるいは、ツイッターで彼を追いかけることも可(http://twitter/newsvandal)。 

<引用終了>


米国の軍産複合体は大きな矛盾を産み出した。これは誰が見てもそう判断するに違いない。そして、それが戦争をもたらすことを懸念しながらも、軍産複合体を諦めようと言う者は一人もいないと著者は言う。 

確かに、大矛盾である。

ここに指摘された矛盾に満ちた米国の社会を理解するには「平和時の大動員」という言葉が重要な役割を持っている。それが9/11事件を引き起こし、対テロ戦争、アフガニスタンやイラクにおける戦争、シリア紛争、ウクライナ革命をもたらしたのだとい言えよう。米国社会は大きな敵が存在しなければ米国の経済が回って行かないという極限的な状況に至ってしまった。「新冷戦」はまさにこの経済構造がもたらしたものである。 

もしもこの著者が指摘したことが真理であり、米国の社会や経済システムは変革されることがないとすれば、この大矛盾を抱える米国社会はさらに先へと進んで行くしかない。遅かれ早かれ、大きな戦争を引き起こし、米国は自滅するしかないのではないか。それは帝国が辿らなければならない宿命なのかも知れない。

しかし、問題はそれだけに留まる訳ではない。ネオコンの連中が熱心に進めようとしている米中あるいは米ロ間の経済戦争を考えると、それは大規模な核戦争となる可能性が大きい。その場合、考え得る結末は石器時代に逆戻りするといった生易しい状況ではなく、人類はもはや生存できなくなるのではないか。

今人類がもっとも必要としているのは軍事力を誇示することでもなく、軍拡競争を勝つことでもない。それは一般市民が国際問題を外交努力によって解決しようとする意志を持つことであり、その努力を支えようとする責任感を共有することである。政策を変えるにはこれしかない。




参照:

1 America’s Military-Industrial Addiction: By JP Sottile, Dec/01/2017, consortiumnews.com/.../americas-military-industrial-ad...




2017年12月2日土曜日

ウクライナについて隠蔽されていた本当の話 - キエフ・ユーロマイダンの狙撃者らがデモ参加者を撃った。イタリアのドキュメンタリー番組が驚くべき証拠を提示



ウィキペディアによると、2014218日、ウクライナの反体制派の市民と警察の間に武力衝突が発生し、数日間で、13人の警察官を含め、少なくとも82人が死亡し、1,100人以上が負傷した。
あの事件からもうじき満で4年にもなろうとしている。

それにもかかわらず、西側の大手メディアはマイダン革命に関する本当の話を報じてはくれない。同じ年の7月にウクライナ東部で起こったマレーシア航空のMH-17便撃墜事件と同様の状況に置かれている。 情報の隠蔽が続いているのだ。西側にとっては、真実を報道することは余程都合が悪いということであろう。

ユーロマイダン革命の2か月後、私はドイツのテレビ局が報道した内容をご紹介したことがある。2014423日に掲載した「ウクライナのキエフで死者を出した発砲事件には反政府派が関与 - ドイツの公共テレビ放送」と題した投稿である。ご記憶にある方も多いと思う。

最近、イタリアの大手民放テレビ局(Canale 5:イタリアでは最大の視聴者を擁している)がこのマイダン革命の真相に関してドキュメンタリー番組を報道したそうだ。ドイツの公共テレビ放送を除けば、西側の大手メディアが本件を取り上げたのはこれが初めてではないだろうか。

ここに、その番組の内容を伝える「ウクライナについて隠蔽されていた本当の話 - キエフ・ユーロマイダンの狙撃者らがデモ参加者を撃った。イタリアのドキュメンタリー番組が驚くべき証拠を提示」と題された記事がある [1]。かなり最近の報道である。

今日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。マイダン革命の真相について少しでも多く、かつ、少しでも深く学ぶにはこれは絶好の材料である。

 

<引用開始>
















Photo-1

このドキュメンタリー番組は大手メディア、つまり、シルヴィオ・ベルルスコーニ元首相によって1987年に設立されたイタリア企業の「グルッポメディアセットSA」が所有する民放局「カナーレ5」によって報じられたものである。

カナーレ5はイタリアでもっとも多くの市民が視聴するテレビ局だ。 

どうしてこの企業メディアは他の大手メディアが今やニュース報道の対象にもしない20142月にキエフで起こったユーロマイダン・クーデターについて報じたのであろうか? 

これは大手メディアの一角から報じられたものであるにもかかわらず、これは悪質なメディアによる偽情報であるとして(他の)大手メディアによってレッテルを貼られている。 

Global Researchを含めて)独立メディアはイタリア以外の地域でこの情報を確実に配布する積りである。しかしながら、西側の企業メディアは2014年のキエフにおけるクーデターの根本的な政治的理由や加害者ならびにその結末については沈黙を守ったままである。  

(グローバル・リサーチ誌を主宰する)ミシェル・チョスドフスキー(の解説)、20171124


*** [訳注: ここからが原典そのものの引用となります]

イタリアのジャーナリスト、ジャン・ミカレッシンがジョージア国籍の3人の狙撃者と行ったインタビューの内容は息を呑むようなドキュメンタリーとして、20171116日、ミラノに本拠を置くカナーレ5(マトリックス番組)によって放映されたが、その報道内容は依然として国際的な大手メディアによる配信とはならなかった。

一般的には「尊厳の革命として知られている2014年のキエフにおけるクーデターの本当の加害者や組織作りを行った人物に関して驚くべき証拠が挙げられているが、それらの証拠を考慮すると、この現状は驚くべきものではない。

このドキュメンタリーの主役はアレクサンダー・レヴァジシビリ、コバ・ネルガゼ、ザロジ・クロウドスケリーアという3人のジョージア人の軍人であって[訳注: ジョージア語の発音はまったく分からないので、上記の人名の綴りには間違いがあり、訂正が必要です]、彼らはキエフでミカエル・サーカシビリの下で国防大臣を務めたバチョ・アカライアの側近であるマムカ・マムラシビリの指揮下にある特別任務に就いた。彼らは2014115日に偽の旅行用書類を携えてキエフに到着し、マイダンへと赴いた。それぞれが1,000ドルをすでに受け取っており、「任務終了」の時点でさらに5,000ドルを受け取る約束であった。彼らはマイダン広場を良く見渡せるホテル・ウクライナおよび音楽学校のビルの内部に狙撃を行う拠点を準備するという任務を与えられていた。






















Photo-2: キエフのマイダン広場と周辺の建物を示す地図

彼らが後に開示した事実は衝撃的なものであった。他の狙撃者ら(何人かはリトアニア人であった)と一緒に、彼らは米国の軍事工作員であるブライアン・クリストファー・ボイエンジャー(彼のフェースブック・ページはこちら)の指揮下に置かれた。この調整グループにはマムラシビリや悪名高いセルゲイ・パシンスキーも含まれている。後者は彼の車のトランク内に狙撃用ライフルを所持していたことから、2017218[訳注: これは2017年ではなく、明らかに2014年の筈] に反政府派によって拘束されたが、後にマイダン革命直後の暫定ウクライナ大統領府を率いることになった。武器は218日に登場し、ジョージア人やリトアニア人のいくつかのグループに配布された。「個々の袋の中には3個か4個の武器が入っていた。マカロフ拳銃、カラシニコフ自動小銃、ライフル、ならびに、大量の銃弾があった」とネルガゼが証言した。

その翌日、マムラシビリとパシンスキーは広場に向かって射撃を行い、混乱を引き起こすようにと狙撃者たちに説明した。『マムラシビリが到着した時、俺は彼に尋ねてみた。「状況は複雑な様相を呈しつつあり、俺たちは射撃を開始しなければならないんだが。」大統領選挙に出かけることなんて不可能だと言って、彼は返事をした。「でも、誰に向かって撃つんだい?」と俺は聞いてみた。「誰をとか、何処に向かって撃つとかは重要じゃない。混乱を引き起こすために何かに向かって撃つんだ」と彼は言った。』 


[注(2017123日): 読者の方から訳抜けがあったとのご指摘をいただきました。ここに謹んでお詫びをし、抜けていたふたつの段落を下記に挿入します。]

「俺は悲鳴を聞いた」と、レヴァジシビリは当時のことを想い起こす。「地上では何人もが死亡し、負傷をしていた。俺が最初に思ったことは連中が俺を捕まえる前に急いでここから抜け出さなければということだった。そうしなければ、俺は連中に八つ裂きにされるかも。」
 
4年後、レヴァジシビリと二人の仲間は約束のあった5,000ドルは支払っては貰えなかったと言い、自分たちを「使い捨てにした」連中のことについて本当のことを喋ることにした。

英語の字幕付きのドキュメンタリーの全編が下記に示すように入手可能(2部構成): 

[2日後、マケドニアのニュース配信会社であるインフォマックスがコバ・ネルガゼとザロジ・クロウドスケリーアとの52分間にもわたる夜のトーク番組(マケド二ア語)を物にしたが、その中で彼らは自分たちの背景やキエフでの任務に関してさらに詳細な情報を提供した。]

これらの3人の男たちは軍の将校であったが、自分たちがやったことを後悔していると述べている。彼らは単に「命令を忠実に実行した」だけであり、「市民を殺害しなければならない」ことなんて知らなかったのである。控え目に言って、プロの暗殺集団にとってはこれは単純な企てであった。ところで、これらの懺悔の内容や驚くべき新事実はキエフの現政権が有する激しい苦悩とも完全に符合するのである。

ごく最初から、事実について喋ろうとするこれらのジョージア人はこの作戦は元ジョージア大統領のミカイル・サーカシビリによって開始されたものであると明確に主張した。マムラシビリのチーフ役であるバチョ・アカライアは、刑務所における不正行為に関するスキャンダル201210月、「人権ウオッチ」団体がグルダニ刑務所を「アブ・グレイブのジョージア版」と称して特別報告書を世に贈り出したを受けて、同月の議会選挙で敗北したジョージアの指導者とは非常に近しい間柄にあり、信頼されていた人物でもあった。例のジョージア人狙撃者の3人組がキエフでの汚い仕事のために雇われた頃、アカライアは法務省の刑務所部門の長官を務めていた際に職権の乱用、不法拘留、受刑者の拷問、等の容疑で刑事裁判の最中であった(201410月、彼はトビリシ市裁判所で罪を認め、7年半の刑期を言い渡された)。1ヶ月前の201311月、ミカイル・サーカシビリはジョージアで複数の刑事責任を問われていたことから故国を離れ、米国へ渡り、公にタフツ大学に身を置いた。 彼とその取り巻きは自国で手酷い敗北を喫しており、ジョージアにおける使命を履行することに失敗したことについて穴埋めをする意味でそうするように彼らの主から強制されることがなかったならば、隣国で危険極まりない冒険的なプロジェクトを開始するなんてとても考え付かなかったのではないか。

とにかく、ウクライナ危機の当初、ソロスからの融資を受けてジョージアに展開する巨大ネットワーク(バチョ・アカライアは悪名高いメングレル犯罪集団の優秀な申し子であって、2000年代の彼の友人付き合い以降はジョージア・リバティー・インスティチュートでソロスの資金で暮らしていた)はキエフにおける特殊任務を遂行し始めた。

4年後、このインスティチュートは劇的に変化した。ポロシェンコとサーカシビリとの間の関係をはっきりと見せ付ける民主同盟は完全に崩れ去った。 サーカシビリは安定した政治的関係を維持することができない変質者であることを再度証明したのである(20179月以降、ウクライナは彼らからの要求を満たすべくサーカシビリをジョージアへ送還することを考慮している)。ところで、111日、バチョ・アカライアやサーカシビリの近しい側近の一人であり、ジョージア国防省にて憲兵長官を務めたことがあるメジス・カルダヴァはジョージアで同様の刑事訴訟に面していたが、偽パスポートの所有を理由にウクライナの国境で拘束された。ウクライナの治安警察は彼を40日以内にトビリシへ送還するとすでに公表している。 サーカシビリの個人的な護衛役を務める何人かはウクライナで逮捕され、10月の始めに自国へ返された。

これらのすべての要素が、自分たちが捕まり、自分たちが身代わりとなって罰せられる前に、これらのジョージア人の狙撃者3人組が、自衛策として、ユーロマイダンに関して「真実を暴露する自主的な内部告発者」としてイタリアのテレビに出演するという決断に繋がったものだと言えよう。

彼らはキエフの現政権の象徴的な人物の名前を用心深く挙げた。たとえば、アンドリー・パルビー(ウクライナ議会の現議長)、セルゲイ・パシンスキー(親政府派である人民戦線党の代表者)、ならびに、ウラジミール・パラシュク(もうひとりの著名な議員)を2014220日のマイダン広場における虐殺に関して組織作りをし、調整を行った者として名前を挙げたのである。

彼らの主張は他の証拠によっても確認されている。その種の事柄について当面もっとも包括的に情報収集を行っているのはオタワ大学のイヴァン・カチャノフスキー教授である(彼は先週イタリアのドキュメンタリーについても論評を加えた)。

懺悔をした狙撃者らに対してわれわれが如何なる感情を持ったとしても、彼らが公表した内容は市民を故意に殺害した責任から彼らを解放するものとはならない。彼らは宣戦布告された戦争で戦場に赴いている兵士とまったく同じ状況に居たというわけではない。彼らは自分たちの司令官からの命令を受けたわけではない。汚い仕事をするために彼らは金で雇われたのであって、彼らは自分たちがこれから行うことは汚い仕事であることを承知していた。それとは正反対のことを証明しようとしてべらべら喋ることは馬鹿げている。アレクサンダー・レヴァジシビリ、コバ・ネルガゼ、ザロジ・クロウドスケリーアの3人組は、彼らを雇い入れ、彼らに命令を下した連中、つまり、マムカ・マムラシビリ(現在、ドンバスにてジョージア人部隊の司令官を務めている)、ブライアン・ボイエンジャー(彼は20152016年にドンバスにてウクライナ側の一員として戦闘に加わった)、ならびに、ジョージア、リトアニア、ウクライナ人の他の狙撃者らと同様に、ユーロマイダン革命の最中に命を落とした市民の母国で裁判に直面しなければならない。そして、その次にはこの虐殺行為の中心的な受益者であるウクライナの政治家の番がやって来る。彼らの名前(アンドリー・パルビー、セルゲイ・パシンスキー、および、ウラジミール・パラシュク)は一般大衆には依然として知られてはいない。


























Photo-3: 「天国の100人」、2014年にマイダン広場で殺害された人たち 

依然として実際よりは過小に報告されたままである本件はポロシェンコ政権の正当性を全面的に否定してしまう。長い間苦境に喘いでいる国家の現政権の指導者らが「尊厳の革命」の犠牲者の墓地で見せた偽りの涙は、今後、機会が訪れる度に、自分たちの支持者を大量に殺害した行為において後者が果たした役割を強調し、それに光を当てるだけとなろう。外国人の狙撃者のひとりひとりに取るに足りない1,000ドルを支払い、彼らは権力の座に登り、ウクライナ市民の夢と信頼を悪用したのである。それが国家的な大失態を導いた首謀者らに対してウクライナの「尊厳」が値付けした実際の価格であった。

本記事で用いられている画像はすべてがOriental Reviewの所有である。

この記事の原典はOriental Review
著作権 © Oriental Review, 2017

<引用終了>


これで全仮訳が終了した。

ウクライナの政界における生々しい姿がここに公開された。驚くばかりの内容である。

キエフにおけるマイダン・クーデターを企て、指揮し、実行した人物としてウクライナ政界における幾人かの著名な人物やジョージアの大統領であったミカエル・サーカシビリ、米国の軍人の名前、等が登場する。

この引用記事によって、20142月のキエフにおけるマイダン革命でデモ参加者や治安警察官を乱射し、合計で80人余りを殺害したのは当時の反政府派、つまり、現ウクライナ政権の側が準備した狙撃者たちであったことが改めて明確になった。

この記事を物にした記者、ジャン・ミカレッシンやこのドキュメンタリーを放映したカナーレ5に敬意を表したいと思う。

イタリアで最大級のテレビ局がこの報道を行った後でさえも、他の大手メディアは後追い報道を行わず、依然として沈黙を守っていると報じられているが、その沈黙振りこそがこのドキュメンタリーが真実を伝えているものであることを雄弁に物語っていると言えそうだ。

マイダン革命についてはさまざまな論評や解説が出回っているが、4年近く経った今大きな構図で眺めてみると、正義がどちら側にあったのかが鮮明に見えて来る。それは今まで西側のメディアがやっきとなって喧伝していた反政府派にあったのではなく、選挙で公式に選び出されていたヤヌコヴィッチ大統領の側にあったとするのが妥当だ。このことは代替メディアによって革命騒ぎの直後から指摘されていたことである。オタワ大学のイヴァン・カチャノフスキー教授の研究成果には多いに感謝したいと思う。





参照:

1The Hidden Truth About Ukraine, Kiev Euromaidan Snipers Kill Demonstrators. Italian Documentary Bombshell Evidence (原典の表題:Cheap Dignity of the Ukrainian Revolution): By Oriental Review/Global Research, Nov/23/2017 (Oriental Review); Nov/24/2017 (Global Research)